MVNOの日本通信、10の新サービスで“メイン回線”目指す……ソフトバンク向けの格安SIMも用意 2ページ目 | RBB TODAY

MVNOの日本通信、10の新サービスで“メイン回線”目指す……ソフトバンク向けの格安SIMも用意

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日本通信 代表取締役社長の福田尚久氏
日本通信 代表取締役社長の福田尚久氏 全 12 枚
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 具体的な利用シーンを挙げて説明すれば、例えばNTTドコモの「カケホーダイ」のような、現在は大手通信会社のみが提供できている通話定額の仕組みを導入できるようになる。1つのSIMで国内の複数の通信会社の回線が利用できるほか、同じSIMが海外でも利用可能になる。訪日旅行客向けにはプリペイドの音声SIMも提供できる。NFC決済にも対応する。福田氏は「音声定額が実現できれば、本格的にMVNOがメイン回線になる」と説明する。

 グローバル無線専用線の提供が目的としているのは、セキュリティの担保だ。「極端な話をすると、アジアのホテルでPCを使いたいとき、当地のWi-Fiを利用したらVPN接続でも情報は筒抜けだと覚悟した方が良い。しかしPCにドングルを挿して、無線による専用線でやりとりすれば、情報は一切外部に漏れずにすむ」と同氏。IoT、M2M、FinTech、EdTech、MedTech、自動運転、ロボットといった分野で”インターネット×専用線“の需要が高まっており、爆発的な経済創出効果が期待できるという。

■日本通信は別の役割に

 これまで“MVNOは、こうあるべき”というビジネスモデルを、いち事業者として示してきた日本通信。今後は、MSEnabler(モバイル・ソリューション・イネイブラー)として、新たな役割を担い事業展開していく考えだ。「これまではMVNOをサポートするMVNE事業を行ってきた。今後はMVNO、自動車・家電などのメーカー、SI(システム・インテグレーター)、金融機関などがモバイルソリューションを実現する手助けを黒子として行っていく」(福田氏)。

 大手通信会社がクレジットカードと競合するサービスを始めたこともあり、NFC決済の取り組みを進めたい金融機関も多い。保険会社ではキャリア依存しない外交員向けのモバイルシステムを導入する動きがある。同社では、こうした取り組みをサポートしていく。直近では、ソフトバンク向けの格安SIMなども準備している。

■b-mobileはどうなる?

 福田氏は発表会の最後に、質疑応答に対応した。

--- 今後、いつ頃に何を始めたい?

HLRを設置して、自社のSIMで提供を開始する。年内にはサービスの開始まで持っていきたい。ただ、当社にも準備が必要になる。これまでなかったような、(乗用車にも積める)プラスチック以外の素材のSIMや、グローバルで無線専用線が利用できるSIMなどを提供していきたい。市場でも現在、それが求められている。

--- ソフトバンクとの進捗状況は?

秘密保持契約などの関係上、詳しいことは言えない。日本市場では、契約回線の数ではNTTドコモのシェアが最も大きいが、端末別に見ると、ソフトバンクのiPhoneを使っている利用者が最も多い。その方たちにも、格安SIMが選択肢に入るようにしていきたい。

--- b-mobileの今後は?

現時点では、何も決まっていない。サービスを停止する考えは全くない。ただ私たちが法人向け・個人向けにMVNO事業を展開してきた目的のひとつは、実際に自分たちが運営することでMVNOのノウハウを蓄えることにあった。それがある程度のところまで来ているのは事実。今後は、例えば他のMVNOと提携して面倒を見てもらう、といった方向もある。
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《近藤謙太郎》

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