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光サービスアーキテクチャコンソーシアム会長 安田 浩氏 |
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NTTサイバーソリューション研究所 伊藤昌幸氏 |
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NTT光ソフトサービス推進プロジェクト 市森峰樹氏 |
後半は、社会科学の見地から東京大学大学院人文社会系・文学部の池田謙一教授が、人文科学の見地からは北海道大学大学院文学研究科の山岸俊男教授が、それぞれの立場から講演を行った。
池田教授は「総務省の発表するブロードバンドユーザ数で満足してはいけない。その質こそを問うべき」と指摘。同氏によれば同じインターネット利用者といっても、携帯電話ユーザとPCからのインターネットユーザには明らかに行動様式や社会参加意識に違いが見られるという。
1対1のパーソナルコミュニケーションに特化した携帯電話では、本来養われるべきネットへの積極参加やコミュニティ形成、また他人への寛容さが養われにくいと結論づけている。特に若年層において、携帯電話でしかコミュニケーションできないという、新種のデジタルデバイドが進行していることへの警鐘を鳴らした。
山岸教授は、ネットオークションにおける「評判」が、オークション出品者のモラルにどう影響するか、11世紀の地中海貿易で栄えたユダヤ商人グループ「マグリビ商人」との比較によって説明。閉ざされたコミュニティー内で評判による「追い出し」を行って統制したマグリビ商人と、開かれたコミュニティーで行われているネットオークションでは、評判の作用は異なるという。
教授は、実際に架空のネットワークオークションサイトを構築し、日本全国から参加者を募って、匿名性や出品者への評判がどのように作用するか、条件を変えて公開実験を行った。その結果、IDを固定した状態でも随時変更できる(他人になりすませる)状態でも、参加者はよい評判を得ることが長期的な利益につながると判断したという。ただし、評価内容をプラス方向とマイナス方向のそれぞれに限った場合には参加者の行動意識は変わるとし、よい評判を得ることにメリットを見出せるようなシステム設計が重要であるとした。