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600万ユーザを超えたCDMA2000をアピールするKDDIの原口氏 |
そのため、通信モジュールはこのソリューションの一部にすぎなかったり、通信モジュールの費用は組み込まれる端末や利用するサービスの料金に吸収される形になるという。それにより、ユーザは通信モジュールの金額を意識しなくなるため、インセンティブを支払う必要がないという構造が浮かび上がる。
さらに、「これまではauブランドとして電話機を売っているだけだった。しかし、これは通信料金は一度下げたら上げられないようなビジネスだ。そのため、他業種ブランドと組んで付加価値を高めることで、これまで以上の収益を得られるビジネスを進めていく」とし、「世界で71あるCDMA事業者に対して、この通信モジュールの“ビジネスモデル”を輸出する予定だ」と、現在の収益構造の限界とあらたなビジネスモデルの展開を示した。
G-BOOK以外にもauの通信モジュールを利用するテレマティクスサービスはある。それは、パイオニアの「AirNavi」だ。パイオニアモーバイルエンターテインメントカンパニー事業企画部ナビゲーション担当部長の畑野一良氏は、「AirNaviにおける最大の特徴は、サーバ上に地図を置いて、常に最新の情報を提供することだ」と語った。
AirNaviでは、「地図のほか、店舗情報やルート検索もサーバで行っている。その結果、ネットワークを最大限に活かしたシンクライアントのカーナビになった」とアピール。さらに、「行き先と気象情報で、到着する時間帯の天気予報が提供できるなど、2つの情報を組み合わせることにより、あらたに価値の高い情報が生まれてくる」と、テレマティクスサービスによる多大な可能性を示した。
また同氏は、「AirNavi当初は、ディスクドライブ類をいっさい内蔵しないカーナビは安くなるんじゃないか、と考えて開発を進めていた。それを実現させるために、地図をサーバ側に持たせてみた」という。しかし、「結果として端末は安くならなかったが、常に新しい地図が提供できたり、通信機能を搭載したことで、カーナビの価値は無限大になった」と、思わぬメリットが生まれたことを強調していた。
ところで、「AirNaviの端末を安価に提供する目標は、利用料金のメニューで実現されている」という。Aプランでは初期費用を払わない代わりに利用料金が月額3,980円と高い。その一方、Fプランでは初期費用として143,800円という高額を徴収する代わりに月額利用料は1,980円と安くなっている。この料金体系は、まさにADSLサービスにおけるモデムレンタルと買取のシステムと同じだ。このような料金を設定できるのも、「テレマティクスサービスの利用料金として定期的にお金を徴収できるからだ」という。
またAirNaviでは、利用できる各地域のおいしいお店などの情報を交換する掲示板「生活情報ドットコム」を提供している。掲示板以外にも、グループ内のユーザ同士が相手の場所を確認できる「ポイントパーティー」や、メールで現在位置を知らせる「ここです!メール」など、コミュニケーション機能の充実ぶりも強調していた。