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プロトタイプ端末。下に見えるのが手首につけるタイプのRF-IDタグ |
このプロトタイプPDAは、モバイルIPv6とIPsec(VPN機能)、RF-IDタグ(無線ID)のリーダ機能を内蔵している。ユーザはそれぞれ、異なるID情報を含んだRF-IDタグを持ち歩き、必要なときにこのPDAを手にとって使用を開始する。RF-IDタグにIDが含まれているので、使用を開始するときはパスワード等の入力が不要、単にタグを押し当てて画面をタッピングするだけで使い始められる。
おもしろいのが、通常のIPv6スタックではなく、モバイルIPv6スタックを採用している点。
通常のIPv6では、端末が接続されているネットワークの一部になるアドレスが割り当てられるため、こうしたPDAやノートパソコンを持ち歩いてあちこちで使用する場合、行く先々で異なるIPv6アドレスが付与されることになる。
しかし、モバイルIPv6ではネットワークが変わっても同じIPv6アドレスで通信を継続できる「ハンドオーバー」機能があり、つながっているネットワークと関係なく、固定的なIPv6アドレスを使用し続けられる。
つまりこれはRF-IDタグにIPv6アドレスが固定的に割り当てられているということ。IP電話やビデオチャットなどP2Pアプリケーションを使っている場面で、たとえば「佐藤さん」を呼び出したい場合、ロケータサービスやディレクトリサービスなどを使用しなくても、あらかじめアドレス帳に「佐藤さん」のものとして登録されているIPv6アドレスに対して接続をするだけで済む。
モバイルIPv6の使い方としてはやや消極的かもしれないが、このプロトタイプPDAは、IPv6について言われていた「みんながそれぞれ固定的にIPアドレスを持てるようになる」という「夢」を現実のものにできる可能性を見せてくれたという意味で、非常に楽しみなデバイスだと言えるだろう。
Net.Liferium2003はパシフィコ横浜で開催中。3月15日(土)と16日(日)のそれぞれ10:00〜17:00となっている。