動画コンテンツがキラーコンテンツにいまひとつなり得ていない要因として、プレイヤーの問題はあるだろう。たとえば、PCの前にしっかりと腰を落ち着けて動画を見ようとしたものの、なぜか再生できない。どうも、再生に必要なプレイヤーをダウンロードしないといけないらしい。もしそんな状態になったら、多くの利用者がそれなら見ないとあきらめてしまうだろう。ブロードバンドのすそ野が広がるにつれて、ごく普通のユーザが増えていく。そうすると、再生に必要な環境を整えてくれとリクエストをしているようでは、残念ながら動画視聴の敷居は高いといえる。
敷居を下げるために、誰もが再生できる環境を整えたらどうだ
これまでの動画配信には、再生するためのプレイヤーという存在がつねに必要だった。逆に、この絶対的条件があったために、コンテンツ提供元が真っ先に実行したことは、再生できないユーザの比率を減らすために何か特別なソフトウェアをインストールしなくても動作させることだ。この結果、Windows用やMac用と配布形式を変えたり、いくつもの帯域のものを作って利用者がストレスなく見られる環境を整えることになる。結果的に、動画配信は面倒くさく、手間がかかるといったイメージをコンテンツ配信元に植えつけてしまっていたのかもしれない。これが、インターネットをとりまくビジネス全体からみると、動画配信は面倒なためにニーズにマッチした動画コンテンツが登場せず、結果的に動画配信に対して強いニーズを生み出せなかったという側面は当然考慮すべき部分だろう。
この側面に対して問題を解決するには、再生プレイヤーが不要でどんなプラットホームでも視聴できる仕組みを作り出すことだろう。このことは、視聴者側の敷居を著しく低くすることができるだけでなく、コンテンツホルダーにとっても再生プレイヤーの存在が不要になる。結果的に、いくつものプレイヤーに対応することが不要になり、配信のための前準備の手間が著しく軽減される。こうした環境が整うのであれば、動画配信がより手軽になり、新たな動画ニーズを生み出すことにつながるかもしれない。
それでは、どうすればこうした環境が整うかである。たとえば、ひとつの解として、Javaアプレットベースのプレイヤーが存在すれば、アクセスと同時に再生のためのアプレットを入手するため、プレイヤーをダウンロードしたりインストールする必要がなくなる。また、Java VMが動く環境であれば、その上でもストリーミングが再生できるようになるため、視聴できる環境が大幅に広がる。たとえば家電やカーナビといったものがネットワークに対応することで、どこからでも同じストリーミングを参照することができる。そんな環境を作り出そうとしている会社がユビキャストだ。
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ユビキャスト 代表取締役 呉 英仁氏 |