TEPCOひかりによるNOVA「お茶の間留学」は、東京電力の100Mbps光ファイバインターネットサービス「TEPCOひかり」回線を使って、NOVAのレッスンを受けられるというサービスである。
■光ファイバが来ることを見越して始めた開発
NOVAはブロードバンドが普及する以前の1993年に「お茶の間留学」の開発に着手していた。そして、1998年には全国展開を、2001年には24時間化を実施している。サービスを提供するために利用している回線はISDN回線だ。当時のことをNOVA広報担当の伊崎勇一氏と、お茶の間留学のネットワークシステムを開発・提供するギンガネット マルチメディア事業本部 次席の高橋祥二氏は次のように語る。
「我々が『お茶の間留学』の開発に着手したのは、『駅前留学』のCMを大々的に展開し、出店を拡大していった翌年の1993年のことです。なぜ、この時期に行ったのかというと、いずれ来るであろう光ファイバ時代にいち早くイニシアティブを取るためでした」(伊崎氏)
「このとき我々がこだわったのは品質です。『会話が途切れてしまう、映像がフリーズする』のでは、お客様にレッスン料をいただくわけにはいきません。そのため、独自に品質維持目標を設定しました。それが、当時としては最先端であったISDN回線というわけです。ISDN回線は、128kbpsというつねに安定した帯域を確保できますので最も適した回線でした。
その後、ブロードバンドの普及とともにADSL回線や光ファイバ回線数が伸びていきましたが、すぐにそれらブロードバンド回線を使うわけにはいきませんでした。なぜならば、ブロードバンド回線は通信速度や安定性を保証するものではまったくなく、ノイズの影響や回線の混雑状況などに大きく影響され、品質を保つことができないからです」(高橋氏)
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写真左:伊崎勇一氏(NOVA広報担当) 写真右: 高橋祥二氏(ギンガネット マルチメディア事業本部 次席) |
■語学学習においては、画像よりも音声が重要
お茶の間留学を実現するためのネットワーク「ギンガネット」を開発するギンガネット マルチメディア事業本部 メディア開発課 課長の村上直太氏は、大阪のネットワークコンテンツセンターとテレビ電話でつながった状態で次のように述べる。
「ギンガネットを構築するにあたっては、生徒さんが安心してレッスンを受けられるということが重要です。そのため、語学学習という『コンテンツ』と、コンテンツを受ける『テレビ電話端末』、端末に接続する『ネットワーク』の3つをトータルに捉え、デザインしました。
テレビ電話というと画像の品質を重視されがちですが、実は語学学習では画像よりも音声のほうが重要となります。画像は通信速度が上がれば品質も上がりますが、外国語の語学を学習するために必要とされる音質は、普通の固定電話よりもはるかに高いレベルが要求されます。というのも、わずか0.1秒であっても音声が途切れてしまうと、まったく別の単語に聞こえてしまうこともあるからです。そのため、通信エラーが起きても音声が途切れないようにするなど、エラー訂正の処理については工夫しました。
現在、ギンガネット電話では、音声を普通の電話の2倍の帯域である7kHzをとっていますが、欲をいえばもっと向上させたいと思っています」(村上氏)
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村上直太氏(ギンガネット マルチメディア事業本部 メディア開発課 課長)。デモ会場と大阪コンテンツネットワークセンターをテレビ電話で接続 |