ネットワークには「予測不可能な脅威」が存在。トレンドマイクロが新体制
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
今回の人事異動では、これまで取締役CTOだったエバ・チェン(陳 怡芬=チェン・イーフェン)氏が代表取締役社長兼CEOに、また代表取締役社長兼CEOだったスティーブ・チャン(張 明正 = チャン・ミンジャン)氏が代表取締役会長にそれぞれ就任した。
新社長兼CEOとなるエバ・チェン氏は、1959年生まれ(45歳)で台湾出身。1988年5月に米テキサス大学でMBAおよびMISを取得し、同じ月にトレンドマイクロに入社。同社の共同創設者の1人であり、1997年からは取締役CTOとして製品開発部門を率いて来た。
まずあいさつに立ったスティーブ・チャン氏は、昨年はネットワークセキュリティに関して、また同社に関して大きな出来事のあった年だったと総括。さらに、今後5年間の戦略を立て、それを実行していくための組織変更を行ったことと、世界市場で競合していくためにはコーポレートガバナンスも重要であること、そしてそれに伴っての役員人事であることを手短に述べた。
続いてエバ・チェン氏が、社長兼CEO就任について「スティーブ・チャンという、特徴あるキャラクターの、かつ成果を上げた前任者の後を受けることとなり緊張しているが」として、会場を和ませた。さらに、「会社としての基盤がしっかりしており、今後5年間の成長に向けた戦略がすでに立てられているため、その意味では落ち着いており自信もある」とアピールした。
同氏はさらに、あらゆる人がデジタル環境でさまざまなことをする現代の世界は、それ自体が巨大なTCP/IPネットワークであると形容。一方ではそのネットワークに、さまざまな「予測不可能な脅威」が存在し続けることを指摘した。そしてトレンドマイクロは、その予測不可能な事態に対して、顧客のデジタル業務の継続を約束する企業でありたいとする考えを示した。
また、そうしたことを現実にやっていく上で、トレンドマイクロは顧客セグメントに対応し、柔軟かつ顧客のニーズに合う形でのサービスを提供できるように組織変更を行ったと説明した。ただし、ここでのセグメンテーションとは、単に顧客がどれくらいの規模の企業または個人であるかということにとどまらず、それぞれの顧客がデジタル環境でどのような業務を行っているかという、それぞれの特徴的なニーズに基づくものであるという。
最後に執行役員日本代表の大三川彰彦氏があいさつをし、会見は約1時間で終了した。
トレンドマイクロはスティーブ・チャン氏という個性的なリーダーに牽引されて来た企業であると言えるが、今回の役員人事はCEOが交代するといっても、同氏が一線から退くといった意味合いのものではない。むしろトレンドマイクロの安定した成長路線を新CEOに委ねることで、スティーブ・チャン氏は自由度を高めて、より先進的な分野について引き続きリーダーであり続けるものと見て良さそうだ。
《小笠原陽介》
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