[Interop Tokyo] ユビキタスの実現にはバックボーン側の対策も必要に
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
ユビキタスネットワークというと“日常利用するさまざまな機器や道具をネットワークに接続する”という方針で“身の回りのあらゆるモノにセンサーやネットワーク・インターフェイスを付けていく”という動きが思い浮かぶだろう。しかし、やるべきことはそれだけではない。さまざまな機器が接続されるネットワークのバックボーン側では、大量の機器がやりとりする大量のトラフィックを整理して流す必要があるため、インターネット・バックボーンも必然的に変化を迫られることになる。大量の機器を接続する、という観点からは着々と進行するIPv6対応もその解決策の1つである。一方、バックボーン側でも効果的な対策の模索が進んでいる。
たとえば、KDDI研究所が展示していた「集中一括型IPルータ自動設定プロトコルRAP(Router Autoconfiguration Protocol)」では、ルータの設定を自動化することでネットワークを拡大する際の管理負担を低減することをねらっている。いわば「ルータ用のDHCP」であり、ネットワークにRAPルータを追加すると、サーバが自動的に適切なサブネットをルータに割り当てることで、人手による設定変更なしでネットワークの拡大や構成変更が実現する。
また、富士通が展示していた「ネットワーク経路制御技術」では、SLA(Service Level Agreement)に基づいて自動的に適切なネットワーク経路を選択するためのORRA(Optimum Route/Resource Allocation)サーバの技術が紹介されていた。これは、QoS(Quality of Service)としてルータ内部で優先順位を変えるなどの形で実装されている考え方を、複数ルータで構成される「経路」というレベルに拡張したものだ。品質を優先するトラフィックは安定した最短経路を通過させ、ベスト・エフォートでよいトラフィックは、必要に応じて迂回路を経由させることで最短経路の混雑を回避する。また、富士通ではモバイル端末向けに無線LANと携帯電話(セルラー・ネットワーク)を状況に応じて随時使い分ける技術も展示していた。これなどは、無線LAN対応携帯電話を実用的なモノにするためには必要となる技術だろう。
日常的に利用しているだけでは、インターネットは既に完成されたサービス・プラットフォームのように感じられるが、ユビキタスネットワーク・パビリオンを見ていると、最先端分野ではまだまだ精力的な研究開発が行なわれていることがよくわかる。
《渡邉利和》
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