ファッションで観る時代のリアル〜1,600人を熱狂させたネットショップ「realstyle.jp」記念イベント
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
本誌既報のとおり、USENの動画配信サービス「GyaO」で11月3日(木)から、「realstyle.jp」と連動した新番組がスタートする。その新番組開始と、サイト・オープンを兼ねた記念イベントである。
セレクトショップとは青山や原宿、代官山などに軒を並べるファッション・リーダー的存在の店だ。
「realstyle.jp」はそんなセレクトショップのネット版。25才前後の女性をターゲットに、2005年9月17日にオープンしている。テレビや雑誌で活躍するスタイリストとパートナー契約を結び、Webサイトを通じて彼らがコーディネイト例を発信する提案型のECサイトだ。
イベントはスタイリスト9人とアーティストが競演するスタイルで行われた。スタイリスト側は雑誌「WWD」で活動する猪塚慶太や、「杉山愛」などのアスリート等を手がける河西真弓、「浜崎あゆみ」などの専属スタイリスト・鈴江秀夫らが3回にわたりファッションショーを繰り広げた。
一方のアーティスト側はショーの合間を縫うように、ライブやトークで応じる。イベントのトリを務めた倖田來未のほか、ユニット「AAA」(トリプル・エー)、島谷ひとみ、Melodyらがライブステージを披露した。
またタレント勢は香里奈やソニン、安めぐみ、臼田あさ美などがインタビューに答えた。イベントの中盤では、クリス・ペプラーの司会でタレントたちがおしゃれを語るトークショーのひとコマも。
インタビューで島谷ひとみは若い女性のおしゃれについて、「自分らしさを大切にしてほしい。ユーモア精神をもち、その年代にしかできないチャレンジをしてみては?」。
また「realstyle.jp」に関しては、「スタイリストのコーディネートをネットで見られるのは、いい見本になりますね。身近にたくさんの服がチェックできて、これは新しいなと感じました」と感想をもらす。
イベントは一般から応募を受付け、抽選で1,600人が招待された。会場はもうとんでもない人の渦だ。
イベント終了後、神奈川からイベントに来ていた女性2人組に話を聞いてみた。ヒロミさんとエリさんだ。2人とも接客業で23才の同学年、小学校時代からの友だちらしい。
ヒロミさんは倖田來未の大ファンで、彼女を見に来たクチだ。「GyaO」なんてぜんぜん知らないし、「realstyle.jp」なるサイトも初めて聞いた。
「倖田來未さんのファンサイトでイベントの告知を見ました。内容はくわしく出てなかったので、何があるのか知らずに来たんです(笑)。でもファッションショーを観てほしい服がいくつかあったし、イベント全体がおもしろかったです」(ヒロミさん)
かたやエリさんはヒロミさんの誘いに応じて参加した。やっぱりお目当ては倖田來未だ。
「私、イベント会場で服を売ってるのかな? と思ってました(笑)。私もショーを見て買いたいものがあったから、帰ってサイトを見るつもりです。ショーに出てくる服は、すごく身近なファッションでした。そこがよかった。私的にはこのイベントって大成功だと思います」(エリさん)
それお世辞で言ってるんじゃないの? とツッコんでみたが、どうやらそうじゃないらしい。イベントは彼女たちのアンテナにピピッときたのだ。
倖田來未は映画「キューティーハニー」の同名主題歌で、一躍ポピュラーになったアーティストである。おまけに映画「キューティーハニー」(原作・永井豪)の監督は、熱狂的ファンが多い「新世紀エヴァンゲリオン」の庵野秀明だ。
映画は70年代TV特撮ヒーローの雰囲気をベースにしている。かたやファッションの世界でも60〜70年代ブームが起こり、レトロなおしゃれは若い女性に強い影響をあたえた。70年代をキーワードに、倖田と庵野をカップリングした仕掛けが時代性を感じさせる。
イベントは、その倖田來未をトリにもってくる構成である。ステージで歌う彼女のファッションやパーソナリティは、見る側の若い女性に同時代性を感じさせる。そこに等身大の自分を見る。ショーを観たエリさんの「身近なファッションだからよかった」という言葉に注目してほしい。
倖田來未はファッションリーダーのワクを越え、彼女たちにとっては生き方のモデルになっている。そんな倖田の存在は、時代や生き方をキーワードにしたイベント自体の象徴だ。
イベントは倖田來未を媒介に、「GyaO」や「realstyle.jp」を知らないヒロミさんとエリさんを磁石のように引き寄せた。彼女たちは会場で、ECサイトやコンテンツという未知の世界のおもしろさを体感した。イベントの仕掛けは成功しているし、それってやっぱり時代を射抜いているからなのだ。
《松岡美樹》
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