文化放送、ラジオ放送とネット配信をセットにした新事業「雷電」をスタート | RBB TODAY

文化放送、ラジオ放送とネット配信をセットにした新事業「雷電」をスタート

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「SHOW-YA 大復活祭」をVOD配信するISP会員向けページのイメージ
「SHOW-YA 大復活祭」をVOD配信するISP会員向けページのイメージ 全 2 枚
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 文化放送はラジオ主導のインターネット事業「雷電(ライデン)」をスタートさせた。11月から「雷電」の音楽部門として、「雷電music」(ライデン・ミュージック)を発足。アーティストのライブ等をラジオの特番で流すと同時に、ネットを使ってVODを無料配信する。またDVDの販売もセットで行う。

 第一弾として、女性バンド「SHOW-YA」を取り上げる。SHOW-YAは10月23日、東京・NHKホールで再結成ライブ「SHOW-YA 大復活祭」を開いた。そのダイジェスト映像を、OCNやBBit-Japanに加盟する合計36社のISPユーザ(計約1,000万人)を対象にVOD配信する。期間は11月11日〜11月17日。

 「雷電music」としては、第2弾以降も新しいアーティストをフューチャーし、年4回を目安に継続して企画運営を行う。

 また「雷電」全体としては、今後、音楽以外も手がけていく。映画やアニメなどの映像コンテンツを扱う「雷電cinema」(ライデン・キネマ)を来年度から始めるが、すでに映像作家と企画を進めている。

 文化放送が、放送と通信を融合させたプラットフォームを立ち上げた。ユーザは無料でVODコンテンツやラジオを楽しめる。コンテンツホルダーから見れば、ラジオ出演やVOD配信のための「媒体費」をかけずに無料でプロモーションできる。

 一方、ISPはコンテンツをコスト・ゼロで仕入れることができ、自社ユーザに無料視聴の特典をつけられる。主体になる文化放送にすれば、ネットを活用してラジオのリスナーを増やす展望が生まれる。加えてネットを使うため放送地域の制限がかからず、オンデマンド配信だから放送時間の制約もない。

 文化放送は手始めに11月3日、SHOW-YAのラジオ特番を放送した。番組ではSHOW-YAのメンバー全員が生出演し、「復活祭ライブ」の模様を中心に放送を行った。またインターネットラジオでも、ラジオ特番と同じ内容を配信している。

 同時に11月6日からは、SHOW-YAのヴォーカリスト、寺田恵子が出演する文化放送のレギュラー新番組『寺田恵子「Rock'n Rose」』も始めた。

 一方、11月18日にはライブDVDの予約受付を始め、12月21日から販売する。予約は雷電のWebサイトのほか、各ISPがVOD配信用ページに「予約受付」ボタンを設置し、ISPが販売協力を行う。

 文化放送は11月7日に、「雷電」の発表記者会見を開いた。席上、同社の三木明博常務は、「ラジオはリーチの拡大が課題だ。(方法論としては)既存メディアとの取り組みがある一方、インターネットとの連携は大きい」と雷電の狙いを語った。

 またビジネスモデルを説明した同社編成局制作部の吉住由木夫次長は、「雷電の雷はブロードバンドを、電はラジオを意味している。雷電はほぼ同時期にラジオ、ネット、DVDでコンテンツを発信し、広告の一斉出稿をもたらす『ショットガン・プラットフォーム』だ」と説明した。

 インターネット側の役者は、VOD配信のインフラを提供する合計36社のISPだ。OCNやミテネインターネット、KCT(倉敷ケーブルテレビ)のほか、BBit-Japanの組合会社である電力系ISP事業者などが参加している。

 これらISPをまとめ、インターネット部門の技術統括をするのは、ISPの技術協力・スキルアップを図る団体「CRNフォーラム」である。同フォーラム事務局の高橋政夫氏は、「ユーザ会員に向け、会員特典を増やしたいISPが36社集まった。インフラの基本形はすでにできている」と語る。ISPは今後、増やしていく意向だ。

 一方、雷電企画の広告販売業務は、プランニング会社の「アベイル・ブレイン」が担当する。同社の指輪英明代表取締役は、「ラジオとインターネットは相関関係にある。ラジオを聴きながらネットで情報収集が可能だ。この事業ではWin-Winモデルが成立する」と分析した。

 またSHOW-YAの寺田恵子は、「私たちはデビューして20年になります。ファンも年月を重ねている。ライブの写真をネット配信し、ライブに行けなかった人には臨場感を味わってもらっています。こういうやり方もあるんだな、と楽しい気分ですね」などと語った。

 SHOW-YAは1985年に東芝EMIからメジャーデビューし、1998年9月にバンド活動を終了。デビュー20周年の2005年、オリジナルメンバー5人で再結成した。

 VODの配信帯域は、300kbps〜1Mbps。視聴にはWindows Media Playerを使用する。

《松岡美樹》

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