演奏のトップバッターとなったのは、1年C組の中富雄也(なかとみかつや)氏がドラムを務める、ギターレス・ピアノ・トリオの風味堂。ジャズやソウル、スカ、ニューオリンズといったブラック系の曲調ながら、ハートに響く歌詞が特長である。CMで使われた『ナキムシのうた』に始まり、今月2日に4枚目のシングルとしてリリースされたばかりの『ママのピアノ』、メジャーデビューシングルの2曲目『散歩道』を聴かせてくれた。
続いては、J-POP界の文豪、孤高のシンガー・ソング・ルポライターなどと呼ばれる、ミドリカワ書房氏。新しく、スペ中に保健の先生がやってくるらしいという生徒たちのウワサ話から、1曲目の少々アダルトな内容の『保健室の先生』へとつなぐ展開で演奏スタート。そして、離婚で離ればなれになる娘を思う父親の気持ちを歌った『それぞれに真実がある』、顔立ちのことで苦労している女性の気持ちを歌った『顔2005』を披露した。
3番手は、参加ミュージシャンでは紅一点のSalyu(サリュー)氏。「新しい妖怪を考える」というお題で、生徒たちが描いた妖怪の絵が本当に妖怪化して暴れ出す。そこで、Salyu氏の透き通るような歌声で清めてもらおう、となって演奏開始である。映画『KILL BILL Vol.1』で使用された『回復する傷』に始まって、最新シングルの『風に乗る風船』、Salyuとしてのデビューシングル(以前は、Lily Chou-Chouとして活動)である『VALON-1』の3曲を披露。アンプラグドなバックの演奏の中、非常に澄んだ歌声を聴かせてくれた。
そして、前半のトリを務めたのが、1年C組の松本光由氏がギターを担当する4人組のバンドPOMERANIANS(ポメラニアンズ)。レゲエやスカなどの大らかなビートと、飾り気のない歌詞が特長だ。C組で演劇をやるということになり、『ロミオとジュリエット』を上演。松本氏は、音楽担当ということでロミオとジュリエットが離ればなれにされる場面で、1曲目『ハナレバナレ』がスタート。2曲目は、11月23日にDVDシングルをリリース予定の『カワタレボシ』が、最後は1stアルバムに収録されている『ロックンロールスター』が演奏された。
10分の休憩を挟んでの後半は、キャプテンストライダムからスタート。C組の永友聖也氏がヴォーカルとギターを努める3人構成のバンドだ。1曲目は、限定版の1stマキシシングルと、先月発売となったニューシングル『キミトベ』に付属しているライブDVDにしか収録されていない『おばけナイターのテーマ』。続いては、昨年リリースされた『マウンテン・ア・ゴーゴー・ツー』。最後は、先ほど紹介したニューシングル『キミトベ』。なお、お客さんのノリがいっそう激しくなったのが、キャプテンストライダムからである。
次は、池田貴史氏のスペシャルユニット・レキシによる、スペ中でしか見られないライブを敢行した。「いい国(1192)作ろう鎌倉幕府」など、日本史の年号や出来事などを歌詞にしたラップなのが特長。しかも、今回は先生のいとうせいこう氏もスペシャルゲストとして参加。『レキシっていいな』に始まって、江戸幕府が開かれたのは1,600年だったなどとする歴史の新説を題材にした『歴史ブランニューデイ』、会場中に節分よろしくマメを巻きまくった『LOVEレキシ』を披露したのであった。
続いては、金澤ダイスケ氏がキーボードを努めるフジファブリックの登場。金澤氏がクラスのみんなを撮影した際に、副担任であるマペットの珍小窓先生の写真だけがピンボケなどがひどく、珍先生はいじけて失踪してしまう。それを金澤氏探しに行って仲直りし、演奏へとつながっていくのであった。曲は、今年6月にリリースされたシングルでの『虹』からスタート。そして、2ndアルバムの1曲目である『モノノケハカランダ』と、同アルバム最後の曲である『茜色の夕日』が披露された。
生徒たちの演奏が終わったあとは、校歌を歌うC組のバンド名を決めようということになり、生徒がそれぞれアイディアを出し合う。池田氏が「達筆マーガレッツ」、ミドリカワ氏が「GLOY」、中富氏が「Scool of Death」など脱線傾向の名称を提案する一方で、女性陣の安氏が「ザ・スーパーナイン」、Salyu氏が「風・南風05」とマジメなタイトルを提案。そこでインターネットでの視聴者による投票となり、いとう氏が「頼むからやめてくれ」と懇願していた「GLOY」に決定。納得のいかないいとう氏は、自分の権限で「仮」とすることにしたのであった。
そして、先生と生徒全員で『54期生 スペ中 校歌』を披露した後、さらにアンコールへ。いとう氏の推薦で、ボブ・マーリーの名曲『NO WOMAN NO CRY』と、詩は同じで曲が異なる校歌の『チューリップVer』も披露。これでついに、5時間という長時間に及ぶ生放送を完走しきったのであった。
ちなみに、放送終了後も、会場ではイベントは進行。出演者によるコメントを聞けたのである。まずはいとう氏が生放送が終わって大仕事を終えた感想と、入場者に向けて長時間に及ぶスタジオ観覧のお礼を述べた。そして次に中富氏がマイクを。入場者にお礼を伝えると同時に、同イベントを手伝ってくれたボランティアに対してもお礼を述べていた。続くミドリカワ氏は、出演者の中では朝6時半に一番乗りしたことを話し、何時間労働だと笑わせる。そして、いい思い出になったことを感謝の言葉と共に述べた。
その次は永友氏は、リハーサル時に罰金制にしてみんなでがんばったことを披露。セリフ回しが大変だったことを述べたが、いざ本番ではセリフのひとつひとつや演奏の1曲1曲がもったいなく感じ、終わらないでほしいと感じたとのことであった。松本氏は、「帰るまでが学園祭と思って、勝手に帰って」と笑わせたあと、「気をつけて帰って」とのこと。池田氏は、声が遅れて聞こえるように感じる、ひとりディレイの芸(?)を披露し、さらに自身のライブ中に会場中にバラ巻いたマメについても「年の数だけ食べて」と最後まで笑わせてくれた。続いての安氏はお礼の言葉を述べると、非常に緊張したことを吐露。「来年もまた開催できるようにがんばるので、応援をお願いします」とのことであった。副担任の珍先生のマペットを抱えた金澤氏は、非常にセリフを覚えるのが大変だった模様。前日あたりから非常に楽しくなり、今では「役者もいいな」だそうで、笑いを取っていた。
そして最後となったのが、Salyu氏。まずは入場者へのお礼を述べ、次にGLOY(仮)の活動を続けたいという希望を語った。そして生徒全員のあとには、もう一度いとう氏がマイクを取り、今後もまたこうした企画を考えるので、ぜひ来てほしいという旨を伝えると、出演者全員で手をつないで掲げ、終了となったのであった。
思わず記者という立場を忘れて、夢中で楽しんでしまいそうになることが何度もあったこのイベント。月並みな表現だが、5時間という時間が短く感じるような、実に充実した内容であった。
(デイビー日高)