ソフトバンクとヤフー、動画コンテンツの調達などを行う合弁会社「TVバンク」を設立〜「Yahoo!動画」を動画ポータルへ
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
TVバンクは、ソフトバンクグループの動画コンテンツサービス事業を強化するために設立されたもので、両社にて同事業に関わってきた人材およびノウハウを集約するとしている。同社では、動画コンテンツの調達、動画配信および動画検索システムの開発・運用、サービス画面の制作運用などを行い、コンテンツはYahoo! JAPANのサービスの一つである「Yahoo!動画」にて提供されることとなる。
会見ではスライドを使ったプレゼンを孫正義社長が行い、メディアの発展やインターネットのブロードバンド化の話などを交えながら、Yahoo!動画の紹介が行われた。
Yahoo!動画もTVバンクの事業運営開始に合わせ19日からリニューアルされており、今まで有料であった動画を無料化するなどにより無料動画が16,000本、有料動画15,000本をコンテンツとして用意。また、ヤフーの検索技術とソフトバンクが新たに開発した動画検索技術を駆使した「検索インデックス」による動画70,000本の、合わせて約10万本がYahoo!動画から見られるとしており、文字どおり「動画ポータル」として生まれ変わっている。
今まで有料であった動画を無料にできたのは新たなビジネスモデルによるものだ。無料コンテンツについては、コンテンツ内に動画広告が入る「広告収入モデル」が採用されており、まさに民放のテレビを楽しむのと同じ感覚といえるだろう。会見内で動画再生のデモが行われたが、すでに大手企業が広告主として参入している。なお、広告代理店大手の電通や情報堂をはじめとした広告会社もTVバンクの協力企業として名を連ねている。
一方、有料コンテンツについては今までどおり視聴者の視聴料が収入となる「有料配信モデル」が採用されている。なお、有料コンテンツを見るためには、Yahoo! IDおよびYahoo!ウォレットの登録が必要だ。
いずれのコンテンツの場合でも、視聴による収入はTVバンクが集約し、試聴回数や売上高に応じてコンテンツを提供しているパートナーと按分されるという。なお、無料コンテンツについてはゲストユーザでも自由に視聴できるが、このようなユーザによる視聴回数をカウントする技術はソフトバンクにてすでに開発済みだとしている。
コンテンツについては、速報でもあったように今回新たなコンテンツパートナーが増え、一気にジャンルが広まっている。特に韓国および台湾のおもなテレビ局すべてがコンテンツパートナーとして加わっており、韓流ドラマなどが無料コンテンツとして提供されている。このほか、国内のNHKおよび民放キー局にもコンテンツパートナーとしての打診を行っているとしており、インターネットでも配信できるような番組の制作が検討されているところだと述べられた。
また、スポーツジャンルではソフトバンクの所持球団である「福岡ソフトバンクホークス」の試合がライブ中継されるほか、インターネットでの配信権を取得済みだという「メジャー・リーグ・ベースボール(MLB)」の配信などが行われるという。なお、孫社長は質疑応答の中でYahoo!動画の特徴に「ライブ配信の強さ」をあげており、秘密裏の中行われたという今年のパ・リーグのプレーオフの配信テストでは「56万人の同時アクセスでも回線がパンクすることはなかった」とコメントした。
さらに、視聴者による「動画投稿」にも注力していくという。まずは2006年1月より3か月のスパンで、テーマごとの動画コンテストが年4回実施される。テーマは全部で10テーマ用意されており、各テーマの優秀作品に賞金100万円、そしてすべての作品の中の最優秀作品には賞金1,000万円が贈呈されるという。テーマの中には、上戸彩や菊川怜などが所属するオスカープロモーションと共催される「インターネット美女コンテスト」や、「スキージャンプ・ペア」を輩出したデジタルハリウッドと共催の「ショートムービーコンテスト」など、ひょっとすると自分の未来が変わるかもしれないものまで含まれている。
会見の終盤には、コンテンツパートナーからの代表として、韓国の俳優ペ・ヨンジュン氏によるビデオレターのほか、オスカープロモーションの上戸彩さん、福岡ソフトバンクホークスの新垣渚選手、元F1ドライバーでモータースポーツに注力する鈴木亜久里氏、K1からボブ・サップ選手とそうそうたる面々が揃い、新しくなったYahoo!動画に賛辞を送った。
会見の最後に孫社長は、「今までは海外で成功したビジネスモデルを日本に持ってくるという『タイムマシン経営』により多くの事業が成功してきたが、今度はブロードバンドなど環境が整っている日本およびアジアの『動画コンテンツ事業』が世界に展開していくように目指していく」と語った。
《村上幸治》
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