MSの市場参入にも強気の構え −トレンドマイクロ、決算と今年度の戦略を発表
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2005年度の決算報告については、同社代表取締役COO/CFOであるマヘンドラ・ネギ氏が説明を行った。売上高は730億3,000万円で前年度比18%増、当期純利益は186億7,000万円で同18%増となった。地域別の売上では、第1位は日本で294億1,600万円で前年度比で16%増、次いで欧州が183億7,900万円で同12%増、第三位が米国で154億1,700万円で同30%増という結果になった。
製品別売上も紹介されたが、ネギ氏は「Networkというカテゴリに注目してほしい」という。これは同社のNetwork VirusWallや、シスコとの協業によるアプライアンス製品CICSなどを含むもので、数字的にはまだ少ないものの「将来的に面白い」分野だという。
同社は固定資産がほとんどなく、設備投資の必要もないため、資産構成の85%以上が現金だという。そのため利益分配にも有利で、2005年度の配当も75億900万円(1株当り56円)と、純利益の40%を分配する高配当となった。しかもこの値は会計上の純利益にストックオプション費用を足し戻した額をベースとしており、通常の企業の配連結配当性向より高い水準となるという。ネギ氏は、「これまで20%、30%と年を追うごとに配当の割合を増やしてきた。将来はこれを50%〜60%に持っていきたい」と抱負を語った。
2006年度の世界的な戦略については代表取締役CEOであるエバ・チェン氏が登壇し説明した。
チェン氏は、2005年度を振り返り、マイクロソフト社のセキュリティ分野への市場参入、アプライアンス製品の登場、スパイウェアやフィッシング詐欺といった新しい脅威の登場を挙げ、セキュリティ業界は変革期にあると総括。そして、変革期こそイノベーションのチャンスであると述べた。ほか、ユーザはいまだにネットワークセキュリティに不安を抱えており、より安心できる使いやすいソリューションを求めているとも分析。
そこで同社としては、今年、「Trend Micro Enterprise Protection Strategy」を提唱し、あらたな脅威の監視、ポリシーの徹底、感染機器の復旧、大規模感染の予防といった4つの項目について、継続的にイノベーションを行っていくと方針を述べた。
その中でも、パートナー企業との協業が重要であると強調した。同社は、製品や技術をパートナー企業に提供し、パートナー企業は自社の顧客にサービスを提供するというビジネス展開がしやすい。すでに、ISPに同社のウィルスチェック製品などを提供し、ISPがこれを顧客にサービスとして提供していたり、ハードメーカーに技術を提供してセキュリティアプライアンス製品を提供するなど、新しい展開を行っている。同社では、今後もこうした展開を拡充していきたいという。
また、説明後の質疑応答で、マイクロソフトのこの分野への進出について意見を求められると、チェン氏は「価格的な優位は当社やマカフィーなど先行する企業にある」として「競争相手がもう1社増えただけ」と強気の構えを見せた。
日本国内の戦略について同社日本代表である大三川彰彦氏が説明を行った。また国内の展開について前出のネギ氏は、昨年度米国におけるシスコとの協業(CICS)と同様の展開を、国内では先月から正式に開始しているが、これ自体で売上げ伸ばすことは考えておらず、導入企業に自社製品を売り込むための販路拡大と捉えていると説明した。
《竹内充彦》
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