シックス・アパートの企業向け戦略 -MTEから見える日本が先行する“Blog on Business”
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
製品名どおり企業向けのMovabel Typeということになるが、なぜ、日本市場に先行投入されるのだろうか。既存のTypePadとの違いや切り分けはどうなっているのだろうか。このあたりの疑問を、発表会の内容、質疑応答、個別のインタビューなどをもとに、シックス・アパート株式会社の戦略やこの製品の持つ意味などを検証してみたい。
記者発表の冒頭では、米Six Apartの社長であり創業者であるミナ・トロット氏の挨拶で、企業のグループウェアやCMSの代わりとしてイントラネットに導入するなどの事例は、日本市場が先行していると述べた。米国でも、こういった例は増えつつあるが、日本では実際の企業から、商用データベースや企業内情報システムとの連携のニーズも多数寄せられた。そのため、今回のMTEの開発が日本で行なわれ、日本市場に最初に投入されるのは必然だったといえるだろう。
TypePadとのすみ分けについて質問したところ、TypePadはASPサービスとして、意義が薄れたとかニーズがないということではなく、新たなニーズに対応するために開発されたものがMTEということのようだ。Movable Typeは、個人の日記ページ以外では、Webコンテンツ制作、広報・販促ツール、グループウェアなどへの応用が進んでいる。Movable TypeやTypePadは、コンテンツ制作やPRサイトの構築についてほぼ問題なく対応できるが、グループウェアについては、その一部をブログ化できるに過ぎない。しかし、MTEのように企業システムとの親和性を高めることで、グループウェアの弱点であるナレッジベースやコミュニケーションツールとしての活用がさらに広がるということだ。また、そういう導入企業からのニーズに応じて開発されている。
ナレッジベース、コミュニケーションツールとは具体的にどういうことだろうか。それは、関氏によれば「MTEを使うことで、HTMLページよりドキュメント管理が楽になり、掲示板よりアドホックな情報を有機的に参照でき、コメントなどでのディスカッション、そしてブログやエントリのポータル機能やタグ管理機能(掲示板ではスレッドに近いと思われる)が、企業内の新しい情報共有や伝達のソリューションとなるということだ。これは、企業単位(イントラネット単位)のマインドマップツールといえるかもしれない。
ただ、Windows Vistaで予想されるデスクトップの機能強化に比べるとMTEのポータル機能やマルチメディア対応は弱いのではないか、という質問がでていたが、VistaはRSS対応するはずなので、プラグインやタグやテンプレートの正常進化で十分対応可能であるとの認識だった。
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