【GISフォーラム Vol.3】Google AdSenseは雑誌や新聞など紙媒体にも展開
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「これまでグーグルはインターネット上の情報をインデックス化するということをもっぱら行ってきたが、そろそろまだインターネットに入りきれてない情報についても整理したい、というのが我々の現在のチャレンジである」と氏は切り出した。
まず紹介されたのがブックサーチだ。このサービスはすでに米国でははじまっているが、日本では出版社との交渉が進められている状況だ。書店で販売されている書籍をグーグルに送るとスキャンされるが、この際、グーグルは出版社に対していっさい料金は請求しない。また、全てを読ませたくないという出版社の意向をくみ、ユーザーは3ページほどを立ち読みすることができる。「最近出版社の方と話をするなかで、3ページ分を何回もあちこち読んでいると、結局は買わないで全部(無料で)読んでしまうんじゃないかというご意見もある。そんな暇な人はいないだろうし、あえてそうやったとしても全部読めない仕組みを組み込みながら、一生懸命取り込んでいるところだ」(村上氏)。出版社サイドが協力する理由としては、出版社やオンラインの書店へリンクで購入可能になることを挙げた。また、その書籍を購入したとしてもグーグルは出版社に料金を要求しないということも強調された。そのページに関連のある広告を右サイドに出し、広告の数十%を出版社にフィードバックするという仕組みを提供する。氏は「今続々と本が集まってきている。なるべく早く提供したい」との希望を語った。
また、広告面ではAdSenseは逆にインターネットを飛び出していくことも考えられる。たとえば、アメリカで実験的に行われている雑誌広告“AdSense for Magazine”が紹介された。これは雑誌の裏表紙など十分広告主がついているところではなく、雑誌の記事が編集されていくプロセスのなかでどうしてもスペースが開いてしまうという場合に、その記事と関連のある広告を出すということによって広告効果の高い広告をだしていくというものだ。同じように新聞も全面広告ではなく、真ん中の趣味など極めて限られた読者が関心をもって読んでいる記事の最後に関連広告を少し出していくというケースが挙げられる。広告の出稿は、編集の最終段階でロボットが記事を読んで配信した上で輪転機にまわされる。
ビデオもグーグルが注力していくターゲットだ。「当然、ビデオ広告的なものをどう組み合わせていくかが、我々のチャレンジになってくる」と氏は話したが、先日の同社のYouTube買収に関して、すべての手続きが完了するには2〜3カ月はかかるだろうとした上で、それが完了した段階で次のサービスを展開していくことになるだろうと思うと語った。一方で、従来のGoogle Videoは、「アメリカにおいては、すでにいろんなテレビ会社がプラットフォーム代わりする形でコンテンツの充実を図ってきているところだ」と自信をみせた。
さらに、グーグルが世界の情報を整理する(インデックス化する)という意味において注力しているのはプライベートなデスクトップデータが挙げられる。言うまでもなくデスクトップサーチだが、これはグーグルが勝手にインデックス化するわけにはいかない領域であるため、「例えて言うと、一匹グーグルロボットみたいなものを無料でダウンロードしてお使いくださいという仕組み」(村上氏)だ。同様にグーグルが入れない領域としてイントラネットがある。ここに関しては、Google検索アプライアンスが好評だと紹介された。「特に日本版SOX法の施行にあたって企業統制とかいろいろ難しい話はあるが、とりあえずイントラネットの中の文書がどこにどうなっているのかいうことを詳らかにする必要があるということで購入するケースが増えている」という。ちなみにブルーの筐体のGoogle Miniは40万円そこそこなのでとぶように売れているという。「一晩置いておくと、えーっこんな文書がこんなとこおにあったのかということになり、社内文書の検索と統制に使っていただいている」(村上氏)。グーグルの売り上げは99%が広告収入だが、この部分が残りの1%に当たるという。
最後に村上氏は、ユーザーの納得をいただいた上で、グーグル社員でも見ることができないなど厳密なセキュリティーのもとに行われる必要があるが…と前置きした上で、検索結果の正確度ということを考えると、パーソナライゼーションを追求せざるを得ないとした。違う2名が同じ言葉を検索していても、探しているものは違う。その人によりマッチした検索結果を出すためには、その人がどおような検索をし、何をクリックしたかを蓄積し、万人向けではないその人向けの“My Google”みたいなものを追求せざるをえないと語った。
《小板謙次》
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