無線部分だけではなくエンド・ツー・エンドでの設計も重要なWiMAXのネットワーク
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
本セミナーでは、アッカネットワークスの小松直人氏が登壇し、同社が目指すネットワークのビジョンや、WiMAXの最新状況、技術特性などについて解説を行った。WiMAXは、半径数キロメートルにおいて、最大75Mbpsの無線ブロードバンドを実現できる技術だ。同社はモバイルWiMAXの実証実験を積極的に進め、この分野への新規参入を狙っている。
小松氏はWiMAXを選択した理由について、「WiFiのスピードと、携帯電話のカバレッジ、この中間のスペックを満たすものがWiMAX。特長は速い・安い・オープンの3点。アッカとしては、オープンアーキテクチャに魅力を感じており、WiMAXの可能性におおいに期待している」と述べた。また、WiMAXを展開する同社の強みとして、「既存のモバイル事業に対してしがらみがない点、高品質のネットワーク技術やオペレーション能力を有している点、通信事業者から中立的な立場にいる点」という3つの優位性をあげた。
同社は、ベンダーやコンテンツ・アプリケーション提供者にモバイルWiMAXをサポートする際に、最初からソリューションをデザインできるようなビジネスモデルを考えている。ADSL、光、無線などのアクセス環境やネットワークを、プラットフォーム(ASFP)において用意し、これにモバイルWiMAXも取り入れていく方針だ。
次に小松氏は、WiMAXのテクノロジーについても言及した。先ごろ総務省により開催された、2.5GHz帯を利用したモバイルブロードバンド免許方針案の行方を占うカンファレンスで、各事業者のヒアリングが行われ、周波数割り当ての単位や、周波数幅、選定基準などが話し合われた。その割り当ての周波数幅に関して小松氏は、「まずは10MHz幅から始まるのではないか。その際に、WiMAXのパフォーマンスは75Mbpsの半分ぐらいになる。ただし、MIMO(2×2)の技術を利用すれば、10MHz幅でも63Mbpsぐらいまでは可能だ」と説明した。
さらに、「WiMAXのネットワークは、無線部分だけではなく、エンド・ツー・エンドで全体を見ていく必要がある」とし、ネットワーク全体のデザインについて具体的に解説した。WiMAXのネットワークは水平統合できるようなアーキテクチャとして考えられている。足回りのアクセス回線を提供するプロバイダ「NAP」(Network Access Provider)と、サービスを提供するプロバイダ「NSP」(Network Service Provider)に大別できるが、前者のNAPには「ASN」(Access Service Network)があり、ここに基地局や基地局を束ねるゲートウェイが実装される。一方、後者のNSPには「CSN」(Connection Service Network)があり、この部分に、認証システムやDHCPなどの機能が実装されるかたちだ。
アッカは、WiMAXのネットワークにおいて、「QoS」をリアルタイムで制御する手段として、「IMS」(IP Multimedia Subsystem)も取り入れていくという。IMSは、通信事業者が進めている次世代ネットワーク基盤「NGN」(Next Generation Network)のキーコンポーネントとなるもの。「提供するサービスのQoSを、IMSによってダイナミックにコントロールしていきたい」と説明した。
最後に、小松氏はWiMAXの実証実験についても触れた。同社ではWiMAXサービスの実現に向けて、さまざまな角度から実験を進めているところだが、まず横須賀のYRPにおいてWiMAXの基本的な特性試験を行い、基礎データを集めた。そして、この12月から第2段階の実証実験を横浜周辺部(みなとみらい)において行っている。具体的な実験エリアは、今回のイベントが開催されているパシフィコ横浜、横浜駅、桜木町の3か所だ。このトライアルでは、密集地帯における電波の伝播特性、高速道路などでのモビリティ/ハンドオーバー実験、さらに前述のようなIMSによるQoSの制御実験などが予定されているという。
《井上猛雄》
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