ロードバランサーではなくアプリケーション・デリバリー・コントロール——F5新製品
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まずあいさつを行ったF5ネットワークスジャパンの代表取締役社長、長崎忠雄氏は、「約2年半前にv9.0を日本市場にリリースした際、直前のバージョンはv4.5だった。番号が大きく飛んだ最大の理由は、“もはやロードバランサーではない。今後F5はアプリケーション・デリバリー・コントロールを実現していく”というのが理由だ。今回、それ以後初のメジャー・バージョンアップとなるv9.4をリリースする」と製品の位置づけを明確にした。
また、直近の業績についても紹介し、「2006年度決算は年間で40%成長。直前の四半期では、過去最高となる売上高1億17,00万ドルを達成」「米国・ワールドワイドでは、アプリケーション・デリバリー・コントロール市場でシェア・トップとなる34%を獲得。日本ではL4〜L7の市場で約29%であり、2年連続でシェアトップ」といったデータを紹介した。さらに、この成果について同氏は、「F5が目指している方向とマーケット・ニーズの方向がうまく合致しているのではないか」との分析を示し、企業戦略/方向性が支持を得ているとの自信を見せた。
続いて登壇した米F5 Networkのプロダクト・マネジメント担当ディレクターのジェイソン・ニーダム氏は、個々の製品の詳細について説明した。
同氏は「ネットワークはアプリケーションのために存在する」と語り、企業ユーザーにとってネットワーク・アプリケーションの実効性能を向上させることが極めて重要だという。
この部分に直接かかわる新製品が、WebAcceleratorモジュールだ。Webアプリケーションの高速化を強く意識した製品で、Webアプリケーションの実効パフォーマンスを、データ圧縮では実現不可能なレベルで向上させ、3〜5倍の性能向上を実現するという。IBR(Intelligent Browser Referencing)と呼ばれる高速化技法によって実現しているが、中でも中核となるのは、動的に生成されるWebアプリケーションの画面を細かな単位で解析し、変化した部分を最小限の範囲で更新することで、重複したデータ転送を避けるという「ダイナミック・キャッシング」と呼ばれる技術だ。これは、特許取得済みの独自技術だという。
また、BIG-IP v9.4ソフトウェアの改良ポイントは、「運用管理の効率化」と「アプリケーション・アップタイムの向上」だ。
運用管理の効率化では、新たに「管理ドメイン」という概念が導入されており、管理対象を細分化し、明確に分離できるようになった。これは、仮想化サーバ普及への対応策でもあり、BIG-IPに接続されたサーバ上で複数の仮想サーバが稼働しているような状況で、それぞれの仮想サーバに専用のBIG-IPが接続されているかのような個別管理を可能にする。
アプリケーション・アップタイムの向上では、アプリケーションのヘルスチェックをより緻密に行うための「アプリケーション・モニタ」が追加され、IBM Websphereやファイルサーバ(SMB)の監視機能が強化されている。この点について、F5ネットワークスジャパンのシニアプロダクトマーケティングマネージャーの武堂貴宏氏は、「信頼性を向上させるためには停止しているアプリケーションに帯域を割り当てないことが重要で、そのためにはアプリケーションの動作状況を正確に把握する必要がある」と説明している。
同社のフラッグシップとなるBIG-IP 8800は、従来機種の8400と外観が同じだが、内部構造は全面的に刷新されているという。現在はアプライアンス型製品として提供されているが、将来はシャシー型に展開し、ベースシャシーにブレード・モジュールを差し込んでいく形の製品を投入する計画だという。BIG-IP 8800はそのための第一歩となる製品だといい、内部構造がシャシー型を意識した設計となっているようだ。
最大の特徴となっているのはパフォーマンスの大幅な強化で、10Gbpsでのアプリケーション配信(L4制御)を実現する性能があるという(L7制御では8Gbps)。これを実現している技術が、OSとなるTMOS(Traffic Management OS)と、CMP(Clustering Multi Processing)である。急速に普及しつつあるマルチコア・プロセッサを利用し、8800ではデュアルコア・プロセッサ×2で4コアを並列動作させている。同時にOSも4インスタンスの並列動作で処理を行っており、コア数の増加に比例してリニアにパフォーマンスを向上できる構造になっているという。
《渡邉利和》
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