【NAB 2007 Vol.9】YouTubeはユーザを繋げる「チューブ」だ——NAB2007スーパーセッション
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
まず同氏は、Googleのミッションについて、「Googleは、世界中の情報を整理し、常に情報にアクセスしやく、役に立つものでなくてはならない。」と語る。Googleのサービスの1つであるGoogle Videoは、買収したYouTubeと競合してしまうように見えるが、「Google VideoとYouTubeは、お互いに補完的な関係にあり、Google Videoは、ビデオを検索する機能を提供し、YouTubeは、ユーザのコミュニティを形成するためのプラットフォームにしたい。こられは相乗効果を生み出す。」という。
さらに、「すでにYouTubeには、多くの人がコンテンツを作って視聴するというコミュニティができあがっているが、これからはユーザの声に耳を傾けながらサービスを向上していく。」と、常に新たな試みに挑戦していく姿勢を強調していた。
新たな試みの事例を講演内容の順を追ってみてみよう。
まず、「YouChoose 2008」という次期大統領選の候補者の選挙運動ための特設サイトを例にとり、過去にテレビという新しいメディアが影響を与えたように、今、YouTubeが大きな影響を与える存在になっている。政治が関わってくるとビデオクリップの信憑性が重要になってくるとした。
続いて、エコシステム構築に活用する例を紹介した。これは、全編見たいならこちらのサイトへ、という誘導を通じてYouTubeをエコシステムの一部とする取り組みだ。YouTubeが入り口となって、YouTubeからコンテンツオーナーのサイトへ誘導するという使い方もできるのだ。
さらに、ビデオコンテンツの配信シンジケートとしてのYouTubeの取り組みも紹介された。「コンテンツホルダと連携して、高品質のビデオを広告付きでYouTubeに掲載した試みは、表現(ビデオの形式やサイズ、時間など)のバランスを調査するのに役立ち、コンテンツホルダに対してもフィードバックができた。」という。そしてNBA(バスケットボール協会)や放送局のCBSと、それぞれが持つコンテンツ配信の連携は、世界中のファンや視聴者に対して24時間のサービスが提供できることを紹介した。その他、コカコーラとの連携についても触れ、課題としては収益モデルを模索中であるということだそうだ。
Web2.0が提唱され、ロングテールという言葉を聞くようになって久しいが、Googleではロングテールを「頭(メジャー部分)と尻尾(マイナー部分)は、オンライン上ならコストは同じ。伝統的なモデルとして、メジャー部分に集約すると、スライドの赤線のようなグラフを描く。新しいモデルとして、胴体(torso)の部分は、ヒットを繰り返すことで再浮上できる。」と捉えているとした。ちなみに、胴体の部分は「高級ブランド」のコンテンツで、次の右のスライドにあるような企業がそれにあたる。
また、ちょっとした面白ビデオでページビューを稼ぐコンテンツもある。「A different place」は、蹴ったサッカーボールがゴールの角にあたって、ちょうどゴールキーパーの頭にぶつかるというコンテンツで950万視聴、「Where The H--l Is Matt」は、マットという男性が世界各地(海の中に潜ってまで)で同じダンスを踊っているふざけたコンテンツが700万視聴あったという。これらは、言語や文化を超えて訴えかけてくるものがある。まさにグローバルなコンテンツといえる。
このように、YouTubeは「ユーザ同士を繋げるチューブ」であり、Googleは、新しいエコシステムとして「ユーザと広告主とコンテンツを結ぶ」役割を果たそうとしている。
最後に、同氏はGoogleの信念として、
1.著作権を侵害しない(違法コンテンツの削除は惜しまない)
2.コンテンツを検索させるかどうかはコンテンツ所有者に選ばせる
3.パートナー契約を結ぶことによって、コンテンツ所有者に利益を還元する
の3つを挙げ、利益の還元については、2006年度第4四半期にパートナー企業に広告収入から10億ドル支払い、サービス開始時からの累計は71億7千万ドルに上るということを強調し、一人勝ちするのではなく、あくまで利益を循環させて業界全体を盛り上げるポジションであることを強調していた。
《工藤めぐみ(たべらぶ)》
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