サービススタートから1年、韓国版Mobile WiMAXサービスWiBroの現況
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
2006年6月に世界初の商用サービスとして開始した韓国版Mobile WiMAXサービス「WiBro」の開始から1年が経過した現在、韓国WiBro事業者であるキャリア最大手Korea Telecom(以降KT)、およびWiBro関連チップ開発企業であるGCT Semiconductor, Inc.(以降GCT)から講師を招き、今後の日本の指標にもなりうる韓国の先端通信サービスの最新事情を詳しく解説した。
講演の第一部では、KTの携帯インターネット事業本部商品開発部長であるキム・サンヨン(金上泳)氏が、「KT WiBro事業推進現況と主要サービス」と題して、同社のWiBroサービスについて紹介した。
同社では、WiBroサービスを、Web2.0をいつでもどこでも、移動中でも利用できる「モバイルインターネット」と位置づけ、既存のCDMAなどとは切り分け、事業を推進している。キム氏は、WiBroについて、CDMAのHSDPAと比べ、オープンプラットフォームであること、オールIPであること、アップリンクが高速なこと、などを特長として挙げた。KTのWiBroサービスのカバレージについては、仁川空港、17大学のキャンパスや近隣区域など、首都圏の主要地域にホットゾーンを構築し、サービス可能人口は、現在、1,200万人に達しているという。
WiBroの主なターゲット顧客は、25〜35歳の会社員で、ノートPCを利用したWeb検索やマルチメディアコンテンツの利用が中心としている。対するHSDPAの顧客は、36〜49歳の会社員と大学生が中心で、一部は25〜35歳の会社員層まで広がっているという。
WiBroの主要サービスは、大きく次の5つだ。
・UCC(User Created Contents)
・WebMail
・MyWeb(Mobile RSS)
・PC Control
・MultiBoard
UCCは、リアルタイムの個人放送や動画ブログなどを実現するサービスだ。WebMailは、複数のアカウントを一度に確認できるワンストップメールサービスであり、携帯電話のメールサービスとは差別化を図る。MyWebは、リアルタイム検索が連動されるRSSリーダーである。PC Controlとは、リモートアクセスを通じた容量無制限のファイル転送/保存および再生サービスで、携帯型端末から、自分のPCのファイル検索、転送および保存、再生などが行えるサービスである。MultiBoardは、アップロードとマルチキャスト技術を利用した双方向オンラインマルチメディアコミュニケーションで、複数ユーザー間での会議なども行える。
KTでは、2007年をWiBroサービスのプロモーション期間として、2種類の特別料金プランを設定している。無制限で定額料金を支払う「自由宣言」と、使用量に応じて料金を支払う「実用宣言」だ。それぞれの金額は次の通り。
・自由宣言 19,800ウォン/月(データ量無制限)
・実用宣言 10,000ウォン/月(1GB超は25ウォン/MB)
なお、実用宣言に、追加で3,000ウォンを支払うことで、選択した大学キャンパス内は無制限となるWキャンパス料金プランも用意されている。
プロモーション終了後のプランは、いずれもデータ量に制限があり、次のものを予定しているという。
・スリム 10,000ウォン/月(500MB超は50ウォン/MB)
・セイバー 20,000ウォン/月(2GB超は25ウォン/MB)
・スペシャル 30,000ウォン/月(3GB超は10ウォン/MB)
・プレミアム 40,000ウォン/月(4GB超は7ウォン/MB)
参考までに、KTFが展開するHSDPAの料金は、データ量1GBまで(プロモーション期間中は5Gまで)のプランが29,500ウォン(超過分は約160ウォン/MB)、データ量2Gまで(同6Gまで)のプランが44,500ウォン(超過分は約106ウォン/GB)となっている。
講演後の記者からの質問で収益性を問われると、キム氏は「現在は規模を優先したい。(プロモーション終了後の)標準料金プランになれば、十分な収益を上げられる」とした。
WiBroはWiMAXのサブセットといってもよく、世界に先駆けて商用サービスを開始した韓国が、いわばテストベッドとなっている。WiBroサービスの展開は、いずれ米国や日本での、本格サービス開始にも、少なからず影響を与えることになるだろう。
《竹内充彦》
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