【ワイヤレスジャパン2007 Vol.6】ITUとIEEEの融合によりFMCとなる——NEC中央研・森本伸一氏
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
広帯域移動通信については、「ITU系無線通信=移動体通信の進化(標準化)」と「IEEE系無線通信=ホームネットワークの進化(標準化)」の2つを取り上げ、「モバイルブロードバンドに向かって、2つの大きな流れがある」とし、これらの融合したものが「広帯域移動通信」とまず定義づけた。ITU系の技術概観としては各世代のコア技術を俯瞰し、3Gネットワーク進化の方向性としてIP化があり、音声交換網(CS)とパケット交換網(PS)のIPを統合しようという流れに対して、SAE網を導入しての統合というビジョンが示された。
またIEEE系の技術概観としてはカバレージによる分類を提示し、ITU系とIEEE系を比較。特徴、エリア、接続性、コンパチビリティなどの違いはあるものの、いずれは、これらは縮まっていくとし、「そこでFMC(Fixed Mobile Convergence)が重要になる」とした。
FMCそのものについては「ビジネス環境の変化、技術の進歩が背景にある」とし、「いつでもどこでも、その場で最適な手段を使って、同じサービスを安価に受けられる」というコンセプトにより、ユーザー、通信事業者、サービス事業者の三者すべてにメリットがあるという点を指摘する。
そのうえで森本氏は、代表的なFMCをサービスタイプごとに解説。個人向け・企業向けに対象を分けるとともに、さらにサービス提供者を固定&携帯事業者、固定事業者、携帯事業者に分けることで、2対象×3提供者=6つのタイプに分類し、それぞれの実現方法やサービス例を取り上げた。特に具体的なFMCサービスの例として屋内網と携帯網がシームレスにターンオーバーできる「BT Fusion」、企業向け内線電話サービスとして携帯電話を社内通話に利用できる「モバイルセントレックス」、ドイツなどで普及するFMS(Fixed Mobile Substitution)として「ホームゾーンサービス」の仕組みなどを紹介した。
そして技術解説では、FMCを支える技術としてFMCA、GAN、VCC、Wi-Fiなどのタームを解説していく。まず、FMCA(Fixed Mobile Convergence Alliance)による要求仕様の作成について言及、続いて3GPPでGAN(Generic Access Network)として標準化されたUMA(Unlicensed Mobile Access)、無線LANのようなUntrustedなネットワークをいかにIMSに引き込むかというI-WLANの解説、VCC(Voice Call Continuity)におけるIMStoIMS・CStoIMS・CStoCSでパスが張り替えられる挙動の解説、UMAとVCCの呼制御の比較などが行われた。
Wi-Fiの現状としては、Mobile Convergence要件の策定を行っている状況で、「リアルタイム通信への適用というのがキーとなっている」と指摘し、ローミングやパフォーマンスなどは、携帯側からも考えないといけないとした。
NECの取り組みとしては、3G/Wi-Fiデュアル無線端末の「N902iL」を紹介。企業向け端末として11g(54Mbps)にも対応している点をあげたほか、CWG-RFやWMMをはじめとするさまざまなWi-Fi認定を取得していることを強調、最後に全体的なまとめとして、FMCへの期待感を述べコンファレンスを締めくくった。
《冨岡晶》
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