【ニュース解説】IPアドレスがなくなると実際どうなるの?
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まず、IPv4アドレスとは、サーバーや端末、あるいはドメインを特定する情報で、現在インターネットのプロトコルの根幹を成すしくみだ。この一意のアドレス情報の総数は、およそ43億個しかない。単純計算で、地球上のすべての人にIPアドレスを割り当てるには足りない数字だ。これが枯渇問題の本質部分といえる。
現在、IPアドレスを管理しているIANAには約7億9千万個弱残っている。IPアドレスは、IANAからRIR(地域レジストリ)に、RIRから各国のレジストリやNICにまとまった単位で割り振りがなされる。2007年7月現在で、RIRに割り振ることが可能なIPアドレスブロックは47個となっている。JPNIC(日本ネットワークインフォメーションセンター)らの予想では、これが2010年ころに底をつくという。
もちろん、IANAのアドレス在庫がなくなったからといってすぐにインターネットが利用できなくなるということはない。現在のインターネットサービスのほとんどは、末端のユーザーが固定のIPアドレスを持たなくても機能するようなしくみで機能している。ならば、IPアドレスがなくなるとなにが問題になるのだろうか。
一部には、まったく影響はないという意見もある。10年以上前とは違って現在のインターネットは、クローズされたネットワークで重複可能なプライベートIPアドレス、そのアドレスを数個のグローバルIPアドレスを共有するNAT、NAPT、DHCPなどのしくみが前提でサービスが構築されているからだ。影響があったとしても限定的で、ならんからの代替措置や機能でカバーできるという意見だ。
しかし、問題がまったくないわけではない。オンラインゲーム、ケーブルTVなどの一部の映像サービスやIP電話などは、末端のユーザーに対して個別のグローバルIPアドレスが必要である。今後、これらのサービス市場が増え続けるならば、アドレス不足が深刻な問題にある可能性はある。
また、本質的に絶対数が足りないとしたら、これからIP化が進む途上国への配分の問題がでてくる。例えばアジア地域(APNIC)に割り振られているアドレスのうち、中国、日本、韓国の3か国で80%を消費している。その他のアジア諸国がIT化、IP化を推進していくにあたり、必要なアドレスは増えていくだろう。実際この数年の各国へのIPアドレスの振り出しはアジア、ヨーロッパで増加している。これらの諸国が新しいインターネット事業を広げていく場合、その国のレジストリやサービスプロバイダが新規のIPアドレスを申請したくても、他国のレジストリやプロバイダの顧客として申請しなくてはならないという不公平が発生するかもしれない。
RIRや各国のNIRは、この問題について再び議論を始めている。日本でも、総務省やJPNICらがIPv6ネットワークのスムースな移行のための調査研究会のなかでアドレス枯渇問題の問題点の洗い出し、分析、対策の検討を行っている。IPv4アドレスを使い果たしたとしても急激に深刻な問題が起こるわけではないので、ユーザー側としてはあわてる必要はないが、今後の新しいサービスのネックになったり、国際問題になる可能性など、マクロな視点で認識していく必要はあるだろう。
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