【CEATEC Vol.4】ITSで自動車の燃費、安全性を向上させる——日産自動車基調講演
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
CEATEC JAPAN 2007における、日産自動車の副社長である山下光彦氏によるキーノートスピーチ「エレクトロニクスがもたらす自動車技術の革新」での話だ。
いま、クルマに求められているのは安全性と環境への配慮だ。安全性は、1995年との比較で人口に対する死亡や重傷事故を2015年には半分に、2030年には実質ゼロにするとの目標をあげた。環境への配慮だが、二酸化炭素の排出量を2050年には2000年と比べて70%削減、将来的には大気並みにクリーンにする。
これを達成するには、「これまではクルマを中心に技術開発を行ってきたが、人も、社会、交通も一緒に考える必要がある」と述べる。そのうえで、「クルマ、人、社会を結ぶのがエレクトロニクス」と必要性を示した。
安全性の向上では、車間距離が短くなると自動的に速度を落とす、カメラによって白線を認識し車線からの逸脱を防止、4つのカメラでクルマの周囲を撮影し上から見た画像を合成して駐車のアシストを行う機能、などをあげた。
環境への配慮においては、ハイブリッド化、軽量化、バイオ燃料などの研究が進められているのは有名だが、人に対するアプローチにより、燃費の向上をねらうという試みも進められている。同社は、テレマティクスサービス「カーウイングス」を提供しているが、ここで集計された燃費の情報を解析すると、50%程度のばらつきがあるという。都市部や市街地などの走行条件の違いもあるが、ドライバーの運転方法によるものも大きく影響する。
カーウイングスでは、クルマの燃費を自動的に集計し、サーバに送信。これをもとに、Webサイトで自分のデータをチェックし、ほかのドライバーと運転の仕方などの比較ができる。ここでアドバイスを受けたドライバーは、燃費が18%も向上したという。コンパクトカーでは、年間のガソリン代が25,000円、1日1kgの二酸化炭素の削減につながる試算だ。同氏は、実働するクルマを「5年間で100万台に増やす」と目標をあげた。
横浜で実施されているITSの実証実験「SKYプロジェクト」の経過も報告。実験では、クルマ1台1台の位置情報と走行状態を集計し、渋滞情報を形成しているのだが、VICSよりも精度の高い情報が得られることが実証されている。この情報を利用するし渋滞を避けて移動することで、20%の時間と、17%の二酸化炭素の削減につながったとしている。社会における渋滞情報と、クルマを融合することで、環境への配慮ができたという事例だろう。
《安達崇徳》
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