もっとも単純な構造のレーザー、理化学研究所らが実験成功
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
レーザー発振媒質となるルビーや炭酸ガスなどの代わりに、超伝導電荷量子ビットを人工原子として利用。通常のレーザー発振器とは異なり、共振器と強く結合した超伝導電荷量子ビットの準位をジョセフソン-準粒子共鳴を利用して反転分布させるという原理で動作する。
荷電量子ビット素子1つを超伝導共振器に結合し、エネルギーの高い量子準位への移行を用いて光子を発生させた。人工原子が作る光子の発生率は、0.5ナノ秒に1光子程度で、超伝導量子ビットに電流を流すことによって、約10ギガヘルツのマイクロ波周波数領域のレーザー発振を実現した。さらに、このレーザー発振システムにマイクロ波を外部から投入すると、約3倍程度のパワー増幅のあることや、電磁波の位相を整える機能のあることも確認されている。
この発振システムは、比較的簡単な構造を持つため、1つの集積回路チップ上に集積して作り込める「オンチップ」のマイクロ波源やマイクロ波アンプなどへの応用が可能で、電流信号を光子に変えるあらたなシステムとして有望とのこと。今後、レーザー発振の基礎的研究、電子情報を電磁波に変換する情報システムや量子ビット制御・読み出しに必要なコンパクトなマイクロ波源、絶対安全性を有する情報管理に欠かせない量子暗号を実現するツールなどとして使われることが期待されている。
本研究成果は、JST戦略的創造研究推進事業チーム型研究(CREST)の研究領域「量子情報処理システムの実現を目指した新技術の創出」研究領域の研究課題「超伝導量子ビットシステムの研究開発」の一環として得られたもので、英国の学術雑誌『Nature』オンライン版に10月3日(日本時間:10月4日)に公開される。
《冨岡晶》
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