2.5GHz帯事業者免許、選定のポイントを総務省に聞く
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編集部では、総務省 総合通信基盤局電波部移動通信課に取材した情報を元に、その選定となるポイントを整理してみたいと思う。
その前に、まず申請した、ウィルコム、アッカ・ワイヤレス、オープンワイヤレスネットワーク(OpenWin)、ワイヤレスブロードバンド企画の4社についておさらいしておこう。ウィルコム以外は、大手キャリアやメディア、プロバイダー業界を巻き込んだ企業連合なので、その構成などを以下の表で確認しておいてほしい。
総務省によると、免許交付のポイントは8月7日に交付された「2.5GHz帯の周波数を使用する特定基地局の開設に関する指針案」に尽きるという。これには、おおむね以下のような条件が記載されている。
1. エリアは全国を対象とする
2. 認定されたら3年以内に開局しなければならない
3. そのときのカバー率は10%
4. 5年以内に50%のカバー率
5. 3G事業者(ドコモ、KDDI、ソフトバンク)は申請できない
6. 申請する会社は3G事業者の資本は1/3でなければならない
7. 基地局の設置計画
8. 保守、運営の計画と実績
9. 設備の免許不保持事業者への開放(MVNOの促進)
このうち6.については、通信事業の公正な競争という意味で、すでに3G方式で移動体通信サービスを行っている大手キャリア以外に事業免許を開放し、通信インフラが独占されることがないようにするための施策だ。今回の3社の企業連合を生んだ背景でもある。総務省は、単なる資本構成だけでなく、経営体制やガバナンスなども総合的に判断するとしている。
そして、提出された申請書や計画書を吟味しながら、必要なら各社にヒアリングを行いながら決定するとしているが、この条件だけでは4社とも基準を満たしているともいえる。ひとつのポイントは、9.の自社の設備を囲い込むことなくMVNO市場を活性化する施策を持っているかどうかだ。固定回線では、巨大キャリアが設備を開放せず(できず、という面もある)新規事業者の参入が進まなかった部分があるが、次世代無線アクセスシステムでは、そのようなことは許されないというわけだ。オープンワイヤレスネットワークが、記者発表でさかんに「オープン化」を主張していた理由はここにある。
また、一部報道などでいわれている「国際競争力」についてはどうだろうか。指針案には、グローバル化や国際競争力について直接の言及はないが、日本の携帯電話市場の特殊性のため、キャリアもメーカーも国際市場で勝負できていないという現実があり、これをなんとかしなければ、という思いは総務省全体としてはあるはずだ。ちなみに、携帯電話端末の世界市場シェアでは、ソニーも松下もNECも韓国のサムスンやLGに大きく水を開けられている。
しかし、国際競争力については、総務省の興味深い見解を聞けた。グローバリズムは重要ではあるが、その前提として日本の産業政策とユーザーのためになることが重要であり、それが国際競争力にもプラスに働くことが理想であるという意見だ。関連して、認定事業者に外資が入っていることはまったく関係ないとしている。認可とは関係なく、日本の産業市場に投資をしてくれるという意味でむしろ歓迎すべきことという認識だ。
財務基盤については、膨大な設備投資が必要だが、開業時の資本金だけでなく、中長期的な資金調達力も評価したいとのことだ。設備の保守や運用を安定して行うためには欠かせないポイントだろう。
これらを総合しても、どの会社が認可されるかの予想は非常に困難だ。以下は、あくまで編集部の見立てだがまとめてみる。
国際化より日本のユーザーのためという基準を重視すれば、ウィルコムのPHS方式はサービス料金などで有利と考えられる。また、市場の選択肢を増やすという意味で、次世代PHSとWiMAXの2本立てという戦略があるとすれば、ウィルコムは当確だ。オープンという点では、オープンワイヤレスネットワークに参加しているソフトバンクに期待が持てる。ADSL時代から大手キャリアの対応を批判していた企業だからだ。アッカ・ワイヤレスもADSLや携帯電話の実績に安定感がある。テレビ局を巻き込んでインフラだけでなくサービスも含めた幅広い展開も強みだろう。ワイヤレスブロードバンド企画は、資本構成でKDDI色を拭いきれない点以外に死角は見当たらない。WiMAXチップのインテルやWiMAXフォーラムでの貢献、いち早く体制を固めた組織力は連合軍にはない機動性も期待できる。
というわけで、いまの段階で断定的な予想はできないので、編集部独自のポイントの評価を表にまとめてみた。
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