国立天文台、NEC製「SX-9」とクレイ製「Cray XT4」のスパコンシステムを発注
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国立天文台は、2001年よりスーパーコンピュータを世界最高性能の天文学専用のシミュレーションシステムとして共同利用する形で研究者に提供し、理論天文学において世界的な成果をあげてきた。今回2社が受注したシステムは、NECの「SX-9」2ノード(合計20CPU、システム最大ベクトル性能:2.0テラフロップス)とクレイ社の「Cray XT4」(システム最大性能:26テラフロップス)で構成され、スーパーコンピュータの中に宇宙を再現し、コンピュータシミュレーションにより銀河形成における過程を解明する研究目的に活用される。
今回、NECが国立天文台から初めて受注したベクトル型スーパーコンピュータ「SX-9」は、本年10月25日に全世界同時発表されたSXシリーズの最新機種。世界で初めてCPU単一コア 100ギガフロップス(ギガフロップス:1秒間に10億回の浮動小数点演算能力)を超えるCPUを搭載し、最大ベクトル性能839テラフロップスを誇る世界最高速のベクトル型スーパーコンピュータとなっている。
一方「Cray XT4」は本年9月10日に米国AMDより発表された、最新のクアッドコア AMD Opteronプロセッサを740CPU搭載し、理論ピーク性能が約26テラフロップスになるスカラ型スーパーコンピュータ。「Cray XT4」はこれまでデュアルコアプロセッサを搭載していたが、Opteronの採用によりシステムレベルで従来比3-4倍の性能向上を実現している。またOpteronを搭載した大型スーパーコンピュータシステムは国内で初の受注となる。
国立天文台 天文シミュレーションプロジェクト プロジェクト長 牧野淳一郎様は「天文現象では空間・時間スケールの巨大さのために超高速なスーパーコンピュータによるシミュレーションが観測とともに初期宇宙や銀河、星の形成と進化、さらにブラックホールの形成といった現象を理解するための必須のツールとなっています。今回、 NEC の強力な共有メモリベクトルプロセッサとクレイ社 の大規模スカラ並列マシンを導入したことで、これまでの 50倍の計算能力を日本における天文学研究に利用できるようになったことは大きな喜びです。」と述べている。
現在、海洋研究開発機構が保有するスーパーコンピュータ「地球シミュレータ」について、2009年の停止が噂されており、その後継機として「SX-9」の名前もあがっている。今回の国立天文台の採用がどう影響を及ぼすかあるいは及ぼさないのか、いずれにしても要注目だろう。
《冨岡晶》
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