【春モデルPC突撃レポート Vol.3】デザイン加工技術に個性が光る「HP Pavilion Notebook PC」
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HP Imprintは、世界的で85%のシェアを持つという日本写真印刷(NISSHA)の加飾システムを利用した技術。樹脂を溶かして型に流し、冷やしていくことでボディ素材が形作られるわけだが、HP Imprintはその過程でフィルムに印刷されたグラフィックパターンをボディ素材そのものに転写してしまうのだ。あとから塗装された一般的な素材に比べると傷がつきにくく、耐久性に優れ、しかも細かいデザインが施せるというわけだ。モデルを見てみると、例えば天板の角にまで美しくデザインが入っていたり、天板を開いた内側やタッチパッドにも模様が入っているのがわかる。
このHP Imprintにより転写されるZEN-designも斬新である。天板にうっすらと浮かび上がるデザインは、「雫」や「息吹き」「芽生え」など、いずれも自然をモチーフにしたもの。エレガントで落ち着きのある存在感はなかなかのものだ。まずはデスクトップの代替としてバリバリ使えそうな主力モデル「HP Pavilion Notebook PC dv6700/CT」について触れてみたい。
天板は鮮やかに輝く赤銅色。春モデルからは新しいバリエーションが追加された。dv6700/CTでは、この赤銅色の「ZEN-design mebae(芽生え)」と従来からある漆黒の「ZEN-design shizuku(雫)」の2種類が選べる。個人的には重厚かつ荘厳なイメージがするので、前者のほうが好きだ。デザインのポイントは、大地から草が芽生えるイメージだという。
折りたたまれた本体を開くと、きれいな光沢処理が施されたパームレストやキーボード。パームレストは天板と同じくZEN-designとなっている。面白いのは、前述のようにZEN-designがパームレストからタッチパッドの部分にまで及んでいるということ。無味乾燥になりがちなタッチパッド部分に、こうしたデザイン上の遊び心が入っているのは評価できる。また、左右のクリックボタンがタッチパッドより数ミリほど下がっていて、使い心地がとてもよかった。マウスを使う人のために、タッチバッド自体のON/OFFをワンタッチで切り替えられるボタンも付いている。
外観上はキーボード上部に付いた「QuickPlay」と呼ばれるタッチ式のコントロールボタンもアクセントのひとつ。ディスクの再生や音量調節ができるようになっている。ただ、音量調節はタッチし続けることで動作するので、最初は操作に戸惑ってしまった……。通常のボリュームコントロールのほうが直感的で使いやすいと思う。スピーカーは米「ALTEC LANSING」ブランド。低音域がきちんと再現され、ノートPCとしては非常にいい音が出る。外付けスピーカーなどを増設せずとも十分だろう。
●よく練られたインターフェースの配置やユーザビリティ
インターフェースはありがちな背面には一切配置せず、すべて前面と左右の側面に集中させている。前面にはよく使われるヘッドフォン端子など。位置的にはここがベストだ。右側面に光学ドライブやExpressカードスロット、左側面にLANやUSB×2、5in1メディアスロット、IEEE1394などを備える。右利きの人のほうが多いことを想定して、光学ドライブだけでなく、マウス用にUSB×1を右側面に配置させたのはなかなかの配慮だ。光学ドライブはBlu-Rayの読み込みに対応した最新ドライブも選択可能になっている。
ディスプレーは15.4インチのワイド液晶(1280×800ドット)で、光沢のあるクリアタイプ。オフィス用途よりもDVDの視聴などに適しているようだ。輝度は明るすぎるほどあるので、むしろ調節して下げておきたいくらいだった。オプション扱いになるが、ディスプレーの上にはさりげなくWebカメラも装備。画質も思いのほか良くて、自分の顔がディスプレーに映し出された時にびっくりしたほど。遠距離にいる家族との会話などでSkypeを利用している人には嬉しいだろう。
●ベースモデルが7万9800円。この価格なら間違いなく「買い」の一台
最小構成のスペックはCPUがCeleron 540(1.86GHz)で、メモリーが512MB×2、HDDが120GB、光学ドライブはスーパーマルチドライブといった構成。これで価格が7万9800円といのは正直驚いた。いろいろな増設をしても、最小構成価格でも質感の高いベースユニット自体は同じ。これが8万円を切る価格で手に入るなら安い。
手元に届いた評価モデルは、CPUがインテルのCore 2 Duo T7250(2.0GHz)にBlue-Rayドライブ、Webカメラが付いていたので合計して15万1200円。ZEN-design mebae(芽生え)をチョイスするとOSもVistaのHome Premiumになるのだが、Home Basicでも選べるようにしてほしかったと思う。また、Core 2 Duoを選べば、ビデオカードもnVidea社の「GeForce Go 8400M GS」が増設可能。オンラインゲームなどもちょっと楽しみたいな……と考えているなら導入してみてもいいだろう。
総じてdv6700/CTは、個々のパーツの性能よりもベースユニットのレベルの高さを推したいノートPCである。その意味では、どう選んでもらっても満足できる買い物になると思う。
●dv6700の弟分、使いやすさはそのままでコストパフォーマンスを追求!
続いてはdv6700/CTよりもひと回り小さい14.1インチワイド液晶ディスプレーを搭載した「HP Pavilion Notebook PC dv2705/CT」。デザインもdv6700/CTを継承していて、使いやすいON/OFF機能が付いたタッチパッドほか、タッチ式のQuickPlayなども搭載。インターフェース類も右側面にUSB端子を2つ装備させたりと少し整理されているが、基本的にはほぼ同じといった印象。弟分的なモデルになっている。
違うのは、ZEN-design ibuki(芽生え)に代わって、「ZEN-design ibuki(息吹き)」が選べるようになっている点だ。潜在的なエネルギーが噴き出する様子を描いたものになっていて、こちらのほうはパームレスト部分がダークグレー。より大人っぽくシックなイメージに仕上がっている。
ハードウェア的な違いとしては、CPUがAMD製になるということと、光学ドライブがスーパーマルチドライブ固定になるということが挙げられる。CPUについては、AMD製がインテル製に比べて劣っているという感じはしないので、あまり考慮しなくてもいいだろう。
ベースユニットはdv6700/CTよりも1万円ほど安く設定されていて6万9930円。その場合はCPUがSempron 3600+(2.0GHz)、メモリーが512MB×2、HDDが120GBとなる。評価モデルでは省電力に優れるTurion 64 X2 TL60(2.0GHz)になっているが、アップグレード価格が8400円。それでデュアルコアになるならチョイスして損はないはずだ。
●指で触れて&ペンで書く! 新世代のタッチパネルは使い心地抜群
最後は独創的な機能を持つ「HP Pavilion Notebook PC tx2005/CT」だ。12.1インチのディスプレーを180度回転して使えるというだけでなく、ディスプレー全体が指やペンで操作できるタッチパネルになっている点が特徴だ。デザイン面では、新しく「ZEN-design hibiki(響き)」が選べるようになっている。
スタンダードなdv6700/CTやdv2705/CTと比べるといくつか違う点も見受けられる。タッチパッドがディンプル形状になっていたり、Webカメラが小さくスマートになっていることなどだ。キーボードも「Backspace」キーが一番左上に配置され、ブラインドタッチしやすくなっていると思う。
最大の特徴であるタッチパネルは指で押したり、本体に右側面手前に収納されたペンで文字が書けるという。指で触った感じでは、反応速度はまずまずでクリック感もいい。思った部分がきちんと反応する。ただ、センサーを搭載する都合だろうが、少しだけディスプレー全体が白みを帯びているようだ。
指で触るぶんにはそれほど複雑な動作ではないので大丈夫だろうが、ペンではどうか? 実は筆者はペン入力デバイスにあまり信頼性を置いていなかったりする。思うように文字が書けたためしがないのだ。ところが、tx2005/CTのペン入力は想像以上のレベルに達していた。普通に文字が書けるのだ。紙に書きつけているような感じに近く、筆圧の強弱もしっかり表現される。tx2005/CTではワコム社の「ペナブル・デュアルタッチ」を利用していて、従来よりもセンサー出力を50%以上向上させているという。ペンが近づくとタッチ機能のほうがオフになったりもして、それぞれの機能がかぶることもない。
180度回転するディスプレーの蝶番部分はガッシリとしたツクリで動作に不安はない。表示に関しても、上下左右の方向をワンタッチで切り替えられるボタンが付いている。接続するインターフェースの位置によっては、切り替えたほうが使いやすくなるので、この配慮はなかなか見事だ。
最小構成価格では、CPUがTurion 64 X2 TL57(1.9GHz)、メモリーが512MB×2、HDDが120GB、光学ドライブはスーパーマルチの固定で9万9960円。CPUをTurion 64 X2 TL60(2.0GHz)にアップグレードし、メモリーを2GBに増設、Webカメラと指紋認証機能を付けても11万3610円だ。重さが約2kgあり、軽量ノートPCというわけにはいかないが、現時点で考えられるさまざまな機能が埋め込まれている。
《RBB TODAY》
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