【FINETECH JAPAN】基調講演、ソニーとシャープの液晶テレビ戦略 〜 堺工場での合弁に期待
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経産省の岡田氏は、日本の情報政策への取り組み、フラットパネルディスプレイの現状分析、グリーンITの推進などを紹介した。たとえば、FPDについては、液晶、プラズマ、有機ELなど、各メーカーが得意とする分野に特化することで強みを伸ばしていく「選択と集中」という方向性を打ち出し、さまざまな支援を行っており、省電力化への取り組みについては、最も優れた製品を標準とする「トップランナー方式」を採用することで、技術力向上を促しているという。
メーカーによる基調講演は、先ごろ大型液晶パネルの生産における合弁を発表したソニーとシャープの2社だ。
ソニーの吉岡氏は、同社のテレビビジネスの成長戦略を紹介。その中で、世界的に見れば、2010年度の液晶テレビ市場は1億4,000万台(うち37型超は6,100万台)であり、そこまでは市場も右肩上がりに推移するとの予測を示した。同社は、2004年にサムソン電子との合弁により設立したS-LCDで第7〜第8世代までの液晶を生産してきた。同社の今後の戦略としては、S-LCDに加え、シャープとの合弁による40型超の大画面液晶テレビ市場を拡大していくと同時に、XEL-1で先鞭をつけた有機ELテレビの中大画面化に取り組んでいくという。また、自社循環再生プラスチックの利用を拡大することで、省資源化も推し進めていく。
シャープの水嶋氏は、まず、2012年に創業100周年を迎える同社のビジョンや、アクオスの2008年度の取り組みについて紹介した。同社のビジョンの1つは、省エネ・創エネを核とした環境・健康事業で世界に貢献する、というものだ。これは同社製品の省エネ性能の向上を追求すると同時に、同社が得意とする太陽電池パネルによるエネルギーの創出、ウォーターオーブン「ヘルシオ」などによる健康増進支援を示している。
また、同社が目指す次世代液晶テレビについても紹介した。次世代液晶テレビは「表示性能」「斬新なフォルム」「No.1環境性能」という3本柱を同時に満たすものだという。表示性能では、たとえば200ルクスの明るさの下でも3000:1のコントラストを実現するという。これは、従来モデルならば、ちょうど暗闇で見たときのコントラスト比だという。フォルムについては、狭額縁を突き詰めていくと、果てはパネルのみになってしまい、デザインする部分がなくなってしまうというジレンマがあるという。しかし、テレビを含めた室内環境をデザインすることで、新しいフォルムを訴求していくようだ。
パネルには、現在建設中の堺工場で生産が予定されている第10世代が採用されるものと見込まれる。堺工場が本格稼働すれば、1枚のマザーガラスから40型クラスで15枚、50型クラスで8枚、60型クラスで6枚のパネルが生産可能だという。同社の戦略はもちろん、ソニーをはじめとする提携各社の戦略にも大きく関わってくるだけに、2010年3月の稼働に大きな期待が寄せられている。
《竹内充彦》
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