富士通、待機時の通電の遮断と100W超の高出力性能を両立した窒化ガリウムHEMT | RBB TODAY

富士通、待機時の通電の遮断と100W超の高出力性能を両立した窒化ガリウムHEMT

ブロードバンド その他
窒化ガリウムHEMT構造(a)従来の構造 (b)今回開発した構造
窒化ガリウムHEMT構造(a)従来の構造 (b)今回開発した構造 全 4 枚
拡大写真
 富士通と富士通研究所は10日、マイクロ波帯〜ミリ波帯の送信用増幅器に適した新構造の窒化ガリウム高電子移動度トランジスタ(HEMT)を発表した。

 今回開発された新構造の窒化ガリウム高電子移動度トランジスタは、新たに開発された、待機時の通電の遮断と100Wを超える高出力性能を両立する素子の構造が採用されている。具体的には、n型窒化ガリウム層上に窒化アルミニウム層を設け、通電時のキャリアとなる電子の濃度を大きくすることで、大きな出力が得られる構造を開発し、さらに、窒化アルミニウム層を貫通したゲート構造を採用して、ゲート直下部分のみ通電のキャリアとなる電子の濃度を低下させることにより、マイナスの電圧を加えなくても電流が流れにくくなる構造が開発された。また、窒化アルミニウム層を最上層とすると表面状態が荒れて耐圧が下がる課題を解決するため、上層にさらにn型窒化ガリウム層を形成した三層構造とすることで表面状態を改善し、高出力化と信頼性を高めている。これにより、マイナスの電圧をゲート電極に加えなくても、待機時に通電を遮断できる窒化ガリウム高電子移動度トランジスタが開発された。

 窒化アルミニウム層を導入したことで走行電子の量を60%増加でき、通電時の大電流密度を保持しつつ、待機時に通電を遮断できる特性が得られた。また、窒化アルミニウム層をn型窒化ガリウムで覆う三層構造とすることで、素子表面の荒れを抑制し、耐圧300V以上の高電流密度と耐圧の両立に成功している。

 同社では、今回開発した高耐圧窒化ガリウムトランジスタ技術の実用化を進め、2010年頃までに大容量無線通信システムへの適用を目指すとしている。

《富永ジュン》

特集

【注目記事】
【注目の記事】[PR]

この記事の写真

/

関連ニュース