J:COM、09年末をめどに放送サービスをすべてデジタルにするプロジェクト
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
デジタル推進室では、「J:COMデジタル総合対策プロジェクト」を進める。具体的には「共聴施設対策プロジェクト」「デジタル100プロジェクト」「テレビはJ:COMプロジェクト」の3つの施策がある。
取締役でデジタル推進室長の加藤徹氏は、J:COMのネットワーク構成を説明した。J:COMのネットワークは、光ファイバーと同軸のハイブリッドネットワークで構成。局舎からノードアンプまでは光ファイバーで接続しており、デジタルで換算すると3〜4Gbpsの通信速度がある。このノードアンプでは約2,000世帯をカバーし、各世帯には同軸ケーブルで接続している。これにより、TV、電話、インターネット接続サービスを提供している。
J:COMでは、インターネット接続サービスにて最大160Mbpsの「J:COM NET ウルトラ 160メガコース」を提供している。「2008年6月末現在では約5万7,000世帯の契約があるが、現時点では8万世帯の加入があるのではないか。新規加入のうち26%は160Mbpsサービスを選んでいただける。お客様の需要にあっているのではないか」と順調な様子だ。
現在のテレビサービスの主力は、「J:COM TV デジタル」。これは、地上デジタル放送、BSデジタル放送、多チャンネル放送、VODが楽しめるコース。HDDを搭載したSTBでサービスを提供し、料金は月額4,980円だ。J:COMは、地上デジタル放送の開始と同時にデジタル化を開始。「デジタル放送の開始から約4年立ったが、ほぼ当初の想定通りで75%(174万世帯)がデジタルサービスに切り替えていただけた」。
現在は、テレビサービスの契約のうち75%はデジタルだが、「2009年12月までに、すべてデジタルにしたい」という目標がある。これが「デジタル100プロジェクト」だ。J:COMでは、現在、CSやBS放送はデジタルとアナログの両方の信号で配信をしている。このうちアナログは、300MHz幅の帯域を使っており、アナログ放送を終了することで、この帯域が空き、ほかのサービスに転用できるようになる。「放送とVODのハイビジョン化、高度な双方向サービス、インターネットのさらなる高速化が可能になる」とする。
このようにデジタル放送への移行はサービスの拡張につながるが、国策として進められているアナログ放送からデジタル放送への移行にも寄与している。「2005年末には、地上デジタル放送のパススルーを開始した。これで、地デジ対応チューナーがあれば視聴ができるようになった。ホームパス(J:COMのエリア内の世帯)は1,000万世帯を超えており、そのうち700万世帯に地上デジタル放送を提供している」という。
「地上デジタル放送の相談窓口を設置し、販売目的ではない一般的な質問にも答える体制を整えた。戸別訪問で質問に答えられる体制もある」とサポートの強化もアピール。「困難な局面があるが、地上アナログテレビ放送は2007年11月24日には停波する。それに向けて3年弱、あまり悠長なことは言っていられない。もっと周知や広報、啓蒙活動、を進めなければいけない」。
J:COMデジタル総合対策プロジェクトのうち、共聴設備対策プロジェクトとして発表したのが、現在、共聴設備を利用している戸建て住宅向けに地上デジタル放送の再配信する「共聴施設地デジコース」だ。共聴施設地デジコースは、パススルーで地上デジタル放送を再配信するサービス。対応するテレビを接続するだけで、地上デジタル放送が楽しめるようになる。初期費用は10,500円からで、利用料金は月額700円だ。また、「地デジ・BSデジタルチューナーコース」としてSTBを月額500円でレンタルをする。
共聴設備とは、ビルや航空機、鉄道の運行によりテレビが移らなくなった地域に、テレビ放送を再配信する設備。J:COMのエリアでは、80〜100万世帯がこの共聴設備を使っていると想定される。しかし、「ここの世帯はどうやってテレビを見ているか把握している人は少ない」と言う状況だ。さらに共聴設備は、地上デジタル放送に対応していないことが多く、現状だとアナログ放送が停波するとテレビが見られなくなる。そのため、J:COMではこの共聴設備を導入している世帯に限って地上デジタル放送のみを再配信する共聴施設地デジコースを提供する。
J:COM販売戦略部マネージャーの塩見将洋氏は「テレビの受信障害が出る場合は、障害を出したものが解消するのがルール」と説明。このルールに従い、テレビ放送の電波を遮っているビルのオーナーなどが共聴設備を設置している。しかし、現在の共聴設備は地上デジタル放送に対応していない場合が多い。そのため、アナログ放送が終了すると視聴難地域でテレビが見られなくなる。それを解決する方法の1つとして、共聴設備のオーナーに対してJ:COMのCATV網に置き換えるように提案する。
しかし視聴難地域の住民は、これまで地上テレビ放送の受信に対して料金を支払っていなかった。そのため、J:COMの多チャンネルプランの最安プラン(月額4,180円)ではなく、安価な地上デジタル放送のみの共聴施設地デジコースを用意した。
共聴施設地デジコースだが、技術的にはJ:COMならどこでも提供できる。しかし、加藤氏は「一般エリアに拡大するかは検討中」とする。さらに、「J:COMの基本的なサービスは、再送信事業者ではなく多チャンネルと双方向サービス」とも発言した。
「テレビはJ:COMプロジェクト」は、デジタル100プロジェクトにつながる。地上デジタル放送への対策が簡単、BSデジタルも対応、多チャンネル、録画ができるSTB「HDR」、VODなどをアピールし契約を増やす計画だ。
《安達崇徳》
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