三菱電機、毎秒320億回・世界最高速の誤り訂正用軟判定LSIを開発〜100Gbps光通信に適用可能
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通常、デジタル情報ビットは1か0で区別されるが、「軟判定」は“0に近い1”や“1に近い1”など、“確からしさ”を表す情報を併せ持つ判定方法だ。
高速通信における誤り訂正能力の向上には、軟判定を用いて情報ビットの確からしさを参照し、訂正すべき情報ビットに優先度を付け、さらに低密度パリティ検査符号と組み合わせる方式が注目されており、従来の軟判定の最高速度は、三菱電機が2003年3月27日に発表した毎秒10ギガサンプルだった。
新LSIでは、超高速アナログ信号を等しく分配する回路設計技術と、異なる識別電圧での高感度なアナログデジタル変換回路設計技術により、毎秒32ギガサンプルという世界最高速の軟判定速度を実現した。同時に0.13μmシリコンゲルマニウムプロセスにより、高速信号分配回路/3つの識別回路/信頼度情報の符号化回路/32Gbpsの信号を16並列の2Gbps信号に分離する回路を、外形寸法が縦9.7mm×横6.9mmの1チップLSIへ集積した。
なおこのLSIは、総務省が推進している「フォトニックネットワーク技術に関する研究開発」の一研究開発課題である、独立行政法人情報通信研究機構からの委託研究「λユーティリティ技術の研究開発」の一環として開発されたもの。今後はさらに研究を進め、本LSIと低密度パリティ検査符号方式の誤り訂正技術とを組み合わせ、100Gbps光通信を実現する技術実証を2010年までに実施する。その後は、100Gbps光通信システム用光伝送装置として、2012年頃の市場投入を目指して製品化する予定とのこと。
《冨岡晶》
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