NEC、グリーンITソリューションを展示する「REAL IT COOL プラザ」を開設
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データセンターのグリーンIT化には、省電力のサーバやストレージを提供する「プラットフォーム」、各機器を制御する「省電力制御ソフトウェア」、冷却設備や電源設備などの「省電力ファシリティ」の3つが必要。「この3つの組合せで実際にどれくらいの効果があるのかを触れていただきたい」(同社REAL IT COOL推進センター長の泓宏優氏)との理由で「REAL IT COOL プラザ」が開設となった。
REAL IT COOL プラザの特徴は、以前は執務室が設置されていた場所を改良しデータセンターを設置したという点。そのため、床下のフリースペースや空調設備がない。冷却には、同ビルの冷房用に使われている冷水を利用しているのも特徴で、これにより効率を高めている。
また、ベンダーにとらわれずに機器を採用しているのも特徴。サーバやストレージはNECだが、電力や冷却設備はAPCの製品を採用している。「最新の省エネ技術をソフトウェアでインテグレーションする」というのがコンセプトだ。
REAL IT COOL プラザにはショールームだけではなく、研究目的もある。科学技術振興機構の戦略的創造研究推進事業(CREST)にて、産業技術総合研究所と東京大学とともにNECは「情報システムの調停消費電力化を目指した技術革新と統合化技術」の研究を行う。そこでREAL IT COOL プラザを活用する。最近、データセンターのエネルギー効率の目安として注目されている指標に「PUE」というものがある。データセンター全体の消費電力をIT機器の消費電力で割った値であり、1に近づくほど冷却や制御設備などIT機器以外の消費電力が少なく効率がよいことになる。REAL IT COOL プラザはPUEは今のところ1.6だが、サーバの集積度を上げることで1.4にまで高めるめどが付いている。研究では、さまざまな技術を投入することで、限りなく1に近づけることを目指す。
REAL IT COOL プラザでは、熱を1か所に固め“ホットアイル”を作りこれを冷却する形を取る。具体的には、サーバの背面を向き合わせ熱を1か所に集め、この熱を「APC InfraStruXure InRow RC」と「APC Hot Aisle Containment System」で冷却しサーバの前面に放出。これをサーバの冷却に用いるため、空気の動きがコントロールしやすく、冷却効率の向上につながっている。これまでは、データセンター全体を冷やす冷房が必要だったが、REAL IT COOL プラザでは“ラックレベルで冷却する”という考え方だ。
ここでは、グリーンITと仮想化技術に関するいくつかのデモが見られる。
1つめのデモは、負荷が低い仮想化環境下のバッチサーバを、負荷が高くなったWebサーバに用途を変更するというもの。サーバを追加すると簡単に負荷が軽減できるが、消費電力の増大につながる。また、人手に頼ったサーバの再配置だと、原因を分析する時間がかかる、管理者のスキルに依存する、手順が複雑で人的ミスが発生する可能性があるという欠点がある。しかし、REAL IT COOL プラザでは、省電力制御ソフトウェア「WebSAM」を採用することで収集したアラートを分析して原因や負荷の状況を把握し、自動的にサーバの再配置を実施する。
2つめのデモは、温度が上がったサーバで動いている仮想化環境をほかのサーバに自動的にマイグレーションするという技術。仮想化環境の負荷が高くなり、サーバの温度が上昇、それをサーバのファン付近に設置した温度センサーが感知し、「WebSAM SigmaSystemCenter」が分析。しきい値を超えると、温度が高くなったサーバからほかのサーバに仮想化環境をマイグレーションするという流れだ。
《安達崇徳》
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