【MS Car Navigation Day Vol.3】次世代PND向けOS「Windows Embedded NavReady」の全容
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◆次世代PND向けOS「Windows Embedded NavReady」
一般組込みシステムを対象とするOS製品である「Windows Embedded CE」は、PDAやスマートフォン、デジタルカメラなど多彩なデバイスに採用されている。同OSをPND用途向けに特化させたパッケージが2008年6月に発表された「Windows Embedded NavReady」(以下、NavReady)である。「NavReady」には、PND開発向けの機能やミドルウェアが含まれている。
「NavReady」と「Windows Automotive」は、対象システムにより住み分けるかたちをとる。「Windows Automotive」はインダッシュ型カーナビをメインターゲットにするのに対し、「NavReady」はPNDを対象とする。開発側にとっては、前者は車載機器、後者は民生機器のカテゴリーとなるとのことで、ユーザ側が思っている以上に明確に区別されている現状がうかがえる。
PNDは画面サイズが4〜5インチ程度と小さいものの、これまで地図を表示するマップ型カーナビの普及が遅れていた欧州および米国で、低価格を武器に数年前から普及してきた。日本においても、このところ人気が高まっている。
「NavReady」は、「Windows Embedded CE5.0」がベースだが、松岡氏によると「最新版の6.0をベースとしていない理由は、多くの既存PNDが5.0をベースに開発されているため」という。5.0ベースに「Live Search」「Bluetooth」「Side Show」「MSN Direct」といった車載端末に必要な機能が搭載されている。
これらは、ミドルウェアとしてARMアーキテクチャの、CPU向けのバイナリ形式で提供されている。「Windows Embedded CE」は、異なる複数のCPUアーキテクチャをサポートしているが、「NavReady」は、ARMアーキテクチャ専用といえる。組込みCPUのシェアを考えた場合、妥当な選択と言えるだろう。
◆NavReadyを特徴付ける4つの拡張機能
これら4つの拡張機能のいくつかは、PNDのもっとも重要なマーケットである北米の状況に合わせてデザインされているという。もちろん、日本国内のメーカーにとっても同市場は重要であり、システムを開発するうえで大きなアドバンテージとなるはずである。
「Live Search」は、サーチエンジンを使って各種の検索を行う機能である。たとえば、電話帳情報へのアクセスやBluetoothを介した携帯電話経由でのインターネット接続を行うことができる。
「Bluetooth」による接続機能は、音声とデータ通信をサポートしている。同機能は、携帯電話との接続性を検証したうえで提供しており、開発期間の短縮に貢献している。Bluetooth機能が備わっている携帯電話端末が普及している欧米を意識した拡張機能といえる。
また、BluetoothによりPCと接続し、PC経由でインターネットに接続することで、データやファームウェアのダウンロードが可能となる「Desktop Pass-through」の機能も用意しているという。持ち運びが容易で、室内に持ち帰ることが可能なPNDならではの機能だろう。
「Windows SideShow」は、Windows Vistaでお馴染みの機能だ。ガジェットと呼ばれる簡易プログラムを用いて、簡単に周辺機器を接続して情報を表示することができる。PNDを中心に、ネットワークアプリケーションやマルチメディア機能を追加することも容易になることだろう。
米国およびカナダで提供されている情報配信サービスが「MSN Direct」だ。同サービスは、FM放送波に情報を載せて情報を送信するサービスで、その内容はPNDの実装に依存する。PNDの主要メーカーのひとつ米ガーミン(Garmin)の例では、渋滞情報、ガソリン価格情報、気象情報といった地域属性をもった情報が提供されている。
なお、「Windows Embedded NavReady」の技術情報は、MSDNのWindows Embedded Developer Centerからオンラインで入手可能だ。
《小林直行》
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