仮想化はITシステム全体のコスト削減につながる——デルのエンタープライズ戦略
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ディビス氏によると、ハードウェアとストレージの仮想化技術によって、ハードウェアの調達コストはもとより、冷却やメンテナンスコストの削減が可能になるという。まずコスト削減の策としてあげたのがハードウェアの仮想化で、これにより「ハードウェアのコストが50%削減できる」とアピールした。デルでは世界全体で2万台のサーバを保有しており、評価の結果、CPUの使用率が20%を超えるサーバはほとんどなかったという。これを仮想化することによってCPU使用率を2倍と効率化すれば台数は半分に削減できる」との数字を挙げた。
仮想化によるコストの削減は、ハードウェアの調達だけではない。「ITシステムにおけるコストのうち70%はメンテナンス費。ハードウェアが少なくなると管理も少なくなり、メンテナンスコストが削減できる」という。さらに、「サーバに1ドル投資すると、冷却にも1ドルかかる」との数字を挙げている。サーバの投資を削減すると、冷却コストもそれに比例して削減できるということだ。
説得材料の1つとしてディビス氏は、デルが保有するサーバを仮想化した際のコスト削減をあげた。デルでは、保有する2万台のサーバのうち5,000台を仮想化した。「3年半の実績ではトータルで350万ドルのコストが削減できた。年間100万ドルの効果」というほどコスト削減は大きなものだ。このように多くの効果が見られるため、「来年の第1四半期には、ハードウェアの仮想化を8,000台にまで拡大する」としている。
ところで仮想化については、米国と日本では温度差が感じられるというのがディビス氏の意見。「日本はメインフレームの比率が高く、それ以外の国ではx86が多い」という状況だが、「仮想化を導入すると、自然にx86に移行するだろう」と予測する。しかし、「日本のお客さんは保守的だ。仮想化は、堅牢でありリスクが増えないということを説明し説得する必要がある」との課題がある。この説得材料には、デル社内での仮想化の実績、VMwareとのパートナー関係などがある。
VMwareとのパートナー関係は、マシンの仮想化技術の初期から続いている。「VMwareとのパートナー関係は長い。それだけ経験があり、さまざまなな角度から仮想化を支援できる」と自負した。現在は、デルの「PowerEdgeサーバ」とVMwareの「VMware Infrastructure 3」について共同で認証作業を実施。VMware Infrastructure 3をインストールしたPowerEdgeサーバを出荷している。
仮想化はサーバだけではなく、ストレージにもおよぶ。デルのストレージは、シンプル、高い管理性能、妥当な価格という3つの要素を備えていることをあげた。「たとえば、他社には管理性能が高くてシンプルだが価格が高い製品はたくさんある」として、デルのストレージの優位性をアピールした。
また、ストレージにかかるコスト削減については、集約、統一化、自動化といった3つのポイントを挙げた。つまり、部門ごとで分散しているストレージを1つに集約してプールし、仮想化することで使用率を上げ、管理や保守のコスト軽減する。また、SANはファイバーチャネル、NASはイーサネットなど、複数のストレージのネットワークアーキテクチャを1つにまとめることで統一化。さらに、買収したイコールロジックの製品を例に挙げ、新しいストレージを追加すると、自動で認識してストレージプールを拡大する自動化技術だ。
クラウドコンピューティングについても触れられた。「クラウドコンピューティングを提供する会社は競合相手ではなくむしろお客様」とする。デルの製品は、さまざまなクラウドコンピューティングで採用されているが、具体的にはセールスフォース・ドットコムの名前をあげている。
クラウドコンピューティングを実現するためには、先にあげたハードウェアとストレージの仮想化が必要だが、メンテナンスコストの削減のためにソフトウェアも必要だという。「IT as a service」とする領域だ。たとえば「遠隔でディスクドライブの劣化などが分かるようになる。この時点でバックアップとリストアを実行すると障害が発生する前に食い止められる」という技術がある。これにより、70%を占めているとするメンテナンスコストを最小限に抑えられるようになるというわけだ。
《安達崇徳》
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