【スピード速報（123）】神奈川県のアップレートトップ2は川崎市川崎区＆麻生区

【スピード速報】はhttp://speed.rbbtoday.com/の1週間分の計測データをもとに各種の統計データを速報でお伝えする。このサイトはIXに計測専用サーバを置き、月間計測数は数十万を超え、統計データとしても十分な精度と信頼性を持っている。

　今回は第120回「千葉県のアップレートで千葉市の上位独占を浦安市が阻む」にいただいたリクエストにお応えして、神奈川県の市町村区別平均アップロード速度（アップレート）ランキングをご覧いただく。2008年11月25日〜12月1日の測定データから郵便番号が明示されていたものを抽出して、日本郵便のサイトで公開されている最新の全国郵便番号ファイルとの付け合せによって市町村区を特定して（※）、地域別アップレートを算出した。
　なお、測定件数が1件しかない地域は測定した方の個人を特定する懸念があるため、ランキングから除外している。

　図を見ての通り、アップレートのトップは川崎市川崎区で、69.5Mbpsという2位以下を大きく引き離す速度をたたき出した。川崎区は川崎市南端の川崎駅を含む地域で、古い繁華街と下町を思わせる風情で知られている。しかし、工場地域でもあり、IT系企業が集まっている先進産業地域でもある。また、再開発が進んだ結果、大型商業施設やマンションが立ち並び、イメージが変わりつつあることが、この圧倒的なアップレートにも現れているのかもしれない。

　2位には同じ川崎市でも川崎区とは反対側の北端にある麻生区（あさおく）が45.4Mbpsでランクインした。麻生区にはIT系研究所が集まる「かわさきマイコンシティ」があり、昭和音楽大学、田園調布学園大学、武蔵工業大学、日本映画学校などが並ぶ文教地区でもある。アップレートが高速であるのは当然のことかもしれない。なお、実は筆者は一時期川崎市民だったことがあり、南北に長い川崎市では北部と南部で全く雰囲気が異なることに驚いた覚えがある。麻生区や隣の宮前区は川崎市よりも東京都や横浜市への東西側の交通が盛んで、川崎区などのある南側へは疎遠だからだ。よって、川崎市の南端と北端がトップ2となったことはとても興味深い。

　さて、3位には神奈川県の2割近くを占める大都市・横浜市から旭区が入った。旭区は保土ケ谷区の西部が分区したベッドタウンで、住宅地のイメージが強い。よこはま動物園ズーラシアのオープンや、相模鉄道線から東京都心部とを直結する神奈川東部方面線が事業化されるなどのトピックがあるが、産業や文京の要素は少ない。よって、今回のアップレートの高さは、企業や学校ではなく個人のユーザ群によるものと推定できる。

　また、4位の綾瀬市は神奈川県中央部にあり、東名高速道路の渋滞の起点「綾瀬バス停」で知られるる比較的新しい市（1978年〜）である。市内に鉄道の駅が無いことや、米軍厚木基地が地域の2割を占めることなど、特殊な要素を複数持つ地域で、大型商業施設や工場もあり、どの要素がアップレートの高さの主要因なのか判断が難しい。

　以上から、トップ2の川崎市川崎区、麻生区については、埼玉県や千葉県の場合と同様に「中核である地域と、大学や企業のある周辺地域の自治体がアップレートの上位にランクインする」というパターンにあてはまる。しかし、これらとは性格が異なる横浜市旭区、綾瀬市が続いており、バリエーションに富む結果になっている。他の都道府県ではどのような傾向を示すのかも、今後調査していこう。

（※）郵便番号による地域の特定について
　当コラムでは地域をまたがる郵便番号について考慮しており、以下の神奈川県内における「地域をまたがる郵便番号」については地域番号順により◎印の地域における測定データとして扱っている。

〒259-0100 : ◎中郡二宮町、足柄上郡中井町
〒258-0000 : ◎足柄上郡大井町、足柄上郡松田町、足柄上郡開成町