既存IP-PBXにとらわれないアバイアのUC戦略
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日本アバイア 代表取締役社長 藤井克美氏は、まず、アバイアの基本的なビジョンとゴールを説明した。同社のビジョンは、コミュニケーションソリューションを通じて企業の業務効率改善と生産性の向上を実現することと述べた。そして、そのために、企業向け通信システムでナンバーワンのサプライヤーを目指すという目標を掲げた。同社は音声ソリューションが事業ドメインとなるが、企業でのあらゆるコミュニケーションを効率化することで、業務の改善や生産性を上げるには、電話やPBXを単にIP化するだけでは不十分との認識を示し、このビジョンは、オフィス用の電話機、SIPサーバー、メディアゲートウェイなどバックボーンシステムとコンタクトセンター向けアプリケーションやVoice Portalサービス(SOAによるウェブベースの情報共有システム)が重要となることを強調した。
続いて、同社は9月が決算月であるためこの10月から2009年度の会計年度が始まっていると前置きし、2008年度の業績についての説明に入った。やはり世界的な不況の影響で、2008年度は売上で前年並みの52億ドル(前年は53億ドル)になったが、ほとんどが米国で落ち込みが原因で、BRICs諸国では、ブラジルが30%増、中国が20%後半の伸びを示し、日本も5%増となっているそうだ。ただし、財務状態は良好でキャッシュフローで4億3,600万ドルのプラスだ。これは、2007年の投資ファンドによる本社のLBOに伴う負債の利息を除いてのものだ。
2009年度の展望だが、グローバルなアバイアグループは現在3か年改造計画の途中にあり、今年度はその2年目にあたるそうだ。2008年度はLBOによる経営陣の刷新、オペレーションの改善、製品の統廃合など準備期間との位置づけだ。2009年度はチャネル販売の強化と事業部門へのアプローチ強化を進めるという。この体制をベースに2010年度は拡大成長路線に乗せていくプランだ。
チャネル販売については、米国では55%程度が直販によるものだそうだが、これを85%をチャネル販売に移行させたいとしている。しかし、日本ではすでに9割近くがチャネル販売によるもので、この部分はグローバル3か年改造計画を先行していることになる。そのため日本アバイアでは2009年の重点施策として、従業員100〜500人規模の中小企業(SME)や100人以下のコンタクトセンターへのカバレッジの拡大、関連して2次代理店の拡充を目指すとしている。事業部門へのアプローチは、これまでの総務部門や管理部門、コンタクトセンターだけでなく、営業、開発、サービスなどといった部門へのハイタッチセールスを積極的に進めるという。
日本独自の取り組みとして、まず、国内向けの製品試験と5年間のサポートプログラムを紹介した。グローバルで5年保証を行っているのは日本だけで、これは日本発のサービスとして各国のアバイアに広がるだろうとした。じつは、日本アバイアはこれ以外にも日本発の商品を米国などに「Push Back」しているという。コンタクトセンター向けのAgent Mapがそれだ。中国語、英語にポーティングされ海外で展開している。これは色分けされた座席表によるオペレータの管理ソフトだ。また、オフィス向けIP電話のフェイスプレートを自由にデザインできるというサービスも日本発のものだ。携帯電話の着せ替え機能やパネル交換モデルのようなものだが、米国で非常に評判がよいという。いくつかのデザインテンプレートからも選べるが、企業ロゴ、CIカラーなど自由にカスタマイズできるという。会場では、同社が機材を提供しているテレビドラマのカスタムデザインモデルが展示してあった。
最後にユニファイドコミュニケーション(UC)のプロダクトラインナップの説明とデモで興味深いものがあった。同社のモバイル端末向けのVoIPソフトであるAvaya one-X Mobileが、来年にiPhone 3Gやソフトバンク端末で利用可能に予定があるそうだ。このソフトはJavaベースのもので、内線電話をこれらの携帯端末から使えるようにする。UC戦略においてモバイル展開は重要と考えており、現在ソフトバンクをはじめNTTドコモらと交渉しているとのことだ。この場合、キャリアが専用のビジネス携帯で行うFMCサービスとは異なり、基本的には端末やキャリアはオープンにしていく予定だ。VoIPソフト、グループウェアとの連動、ウェブサービスとの連携についても、パートナーとなる企業、ベンダーとのエコシステムを構築していきたいと述べた。
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