【インタビュー】高速&低価格の「ギガ得プラン」で幅広いニーズに応える——KDDI
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その秘密は単にスピード性能だけではない、固定回線からモバイル回線までをカバーするFMBCサービスのバランスによって成り立っていた。アワード受賞を記念して、最大1Gbpsの「ギガ得プラン」のサービス内容や現状について、サービス・プロダクト企画本部ネットワークサービス企画部 BBネットサービスグループのグループリーダー・課長 庵原武彦氏、課長 池田大樹氏、課長補佐 梶利津子氏に聞いた。
——「キャリア・スピード部門」最優秀賞受賞おめでとうございます。まず、昨年スタートした「ギガ得プラン」ですが、契約数やユーザーの反応はどうでしょうか。
庵原氏:ありがとうございます。おかげさまで一定の評価をいただいていると思っています。最大1Gbpsの「ギガ得プラン」を昨年10月から、関東エリアと北海道エリアの一部で開始しましたが、順調に契約数を伸ばしています。
契約数について公表している数字としては、固定通信事業のFTTHの契約数が100万(※2008年12月末で約103万契約)に達するなど、「ギガ得プラン」効果もあり、2009年3月期の第3四半期の獲得数は、過去1年間の四半期平均比1.4倍の伸びを示しています。
池田氏:「ギガ得プラン」にご加入済みの一部のお客さまが、ブログや掲示板などにさまざまな評価を書き込んでくださっているようです。弊社のホームページでも情報提供は行っているのですが、たとえばWindows Vistaでのパケットサイズの変更方法など、活発な議論と情報交換がなされているようです。正直なところ、インターネットのご利用にあたって1Gbpsの帯域が必須というわけではないので、「ギガ得プラン」がどのような評価を受けるか心配だった面もありますが、最近ではIE8のダウンロードがほんの数秒で終わったというような書き込みや反応をいただいております。
庵原氏:もっと一般的なユーザー層でも、ファイルダウンロードやストリーミングでの速度改善を体感できたという反応も聞いています。これは、それまでの契約と「ギガ得プラン」の実効速度との差を体感できたということでしょう。
——アップロードについてはどうでしょうか。
池田氏:現在のところ、KDDI側では特に上下非対称にするといった制御は加えていませんので、上りも最大1Gbpsをご利用いただけます。お客さま側での動画ファイル等のアップロードが普及してきているなか、上りについても下り同様にその速度を体感できているのではないでしょうか。
——大手キャリアが1Gサービスを始めたということで「ギガ得プラン」が業界に与えたインパクトは大きいのではないでしょうか。
庵原氏:ベストエフォートとはいえ、当初はサービス速度に1Gbpsを謳うことはどうなのか、とKDDIという企業ポジションからも考えました。最終的には、ベストエフォートや回線の実効速度に対する認識は市場と共有できるだろうと判断したわけですが、悩んだ分だけのインパクトはあったと思います。しかし、それ以上に実質値下げともいえる料金プランとセットにしたことへの反応のほうが大きかったようです。これは、業界内だけでなく消費者にもうまくアピールできたと思っています。これまで速度性能などには関心が低かった主婦層などへの訴求がしやすくなったというものがあります。
先ほど体感速度の話が出ましたが、ADSLからの切り替えがいちばん効果を理解してもらえるパターンのようです。50Mbps程度のADSLサービスは月額で4,000円程度のものがありますが、電話とセットでご利用いただければ、それと同等程度で一気にFTTHの1Gbpsのサービスが受けられるのですから、コストパフォーマンスの違いは歴然ではないでしょうか。予想以上だったのは、既存のFTTHからの乗り換え組で、予想を超える契約をいただいております。
池田氏:「速さ」と「安さ」を両立したサービスだから「ギガ得プラン」がお客さまのニーズにマッチしたという側面があるかもしれません。一般的に、ご家庭の奥さまは速度が速くなるからといっても大きな興味を示していただけないことが多いようです。家計を預かる立場で、納得できないものにはお金は出してもらえません。しかし、既存の料金より安くなるうえ、インターネット接続の速度が速くなるというポイントに反応していただいたようです。
梶氏:昨年来の世界的不況が報じられるなか、主婦向けの雑誌で家計の節約ポイントが特集され、携帯電話を含む通信料の見直しなどが取り上げられることがあります。また、娯楽費を節約するため休日は外出を控え、映画館ではなく、家で映画を楽しまれるご家庭が増えるのではないでしょうか。不況こそがビジネスチャンスと捉えた、この時代ならではのサービスが提案できたのではないかと思っています。
庵原氏:業界へのインパクトとはちょっと違いますが、「ひかりone」のサービスに必要な電力の一部に「グリーン電力」を導入しています。省エネ、CO2削減といったキーワードもこの時代ならではのポイントでしょうね。「グリーン電力」とは太陽光発電や風力発電、バイオマスなど発電に化石燃料を使わないエネルギーのことです。
池田氏:省エネという視点では、「ギガ得プラン」によって提供される「ホームゲートウェイ」には「省エネモード」を搭載しています。ホームゲートウェイは電話サービスなどのライフラインとしての機能も提供しているので、終日通電が必要ですが、普段使わない時間帯はフルパワーで稼働させる必要はありません。「省エネモード」の時間をお客さまのパソコンから設定できますので、任意の時間帯で「省エネモード」をご利用いただけます。無線LANへの給電停止やLANポートの動作を高速から低速へと最低限の機能を残した動作へ遷移します。お客さまによっては、待機時の電源消費を嫌って利用していない家電製品の電源をすべて落とす方もいらっしゃいますし、省エネや家計節約のためにコンセントはすべて抜くというポリシーは、ネットワーク接続だけなら適用できるかもしれませんが、緊急の電話がつながらないという状態は避けなければなりません。
——エリアについて、今後の予定はいかがですか。
庵原氏:今回ギガ得プランのリリースと同時に新規に札幌でサービスを開始しましたが、開始後申し込みが殺到いたしました。今後のエリア展開については現時点ではまだ何も決まっていませんが、こういった札幌での経験も踏まえて引き続き多くのお客さまにお応えしていきたいと思っています。
サービス面において、「ギガ得プラン」は戸建て住宅がメインターゲットとなるサービスですが、今後はマンションなどへの応用も検討していきたいと思っています。ただし、マンションにおいては棟内配線(メタリックケーブルによる通信速度の限界)、工事方法、契約形態等の課題も多いので、こういった点も踏まえて検討を進めていく必要がありますね。
少し視点は変わりますが、CTC中部テレコミュニケーションとの提携による「まとめトーク」やJCN(ケーブルテレビ)との提携による「ケーブルプラス電話」のように、提携先のサービスとの組合せのような形も含めて当社のサービスをもっといろいろな形で展開していく方法もあり、お客さまのニーズにお応えできるように検討は常に続けています。
——インフラ事業としてのむずかしさがありそうですね。では、サービス全体の今後の大まかな方向性をお聞かせください。
池田氏:「ギガ得プラン」でインターネット接続の高速化が図れましたので、今後は、宅内のすみずみまでその高速性が生かせるサービスをどのように提供していくかだと思います。通信、映像、音楽、あるいは携帯電話など、ネットワークを利用したサービスも充実はしてきていますが、これを1Gbpsといったスペック的な部分を理解してくださる方だけでなく、家族みんなが簡単に楽しく利用できるものにするため、ハード、ソフト両面からのサポートを考えています。
庵原氏:加えて、セキュリティサービスも重要になるでしょうね。一般的なネットセキュリティだけでなくフィルタリングなどユーザーごとにチューンできる機能も必要になってくると思います。家族全員が楽しめる宅内インフラを、モバイルサービスも含めた包括的なものとして展開していきたいですね。
——ありがとうございました。
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