【富士通フォーラム(Vol.7)】ブレードサーバでコスト削減——新製品大規模ブレードサーバPRIMERGY BX900の実力
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まず、展示場所で目に付いたのは、フル実装した稼働中のBX900 S1のシャーシとラック。その右側には従来型のラックが並べられており、こちらには1Uサイズのラック型サーバが18台と関連の周辺装置が実装されていた。
BX900はラックの10Uサイズに収まっているが、ラック型サーバは、1Uのサーバが18台、ネットワークスイッチが2台(2U)、KVMスイッチが3台(3U)の合計23Uのスペースを使っていた。ここでは、BX900 1台と同等の機能をラック型サーバで構成した場合の、スペースの比較などができるようになっている。
BX900は、10Uサイズに18台のブレードサーバが実装でき、LANやファイバーチャネルなど最大で8台のコネクションブレードも搭載可能となっている。また、サーバの稼働状態の表示と簡単な操作が可能な小型LCDパネルが、コンソールとしてシャーシに内蔵されている。つまり、さきほどの23Uの機能は、BX900ではすべて10Uサイズに実装可能ということだ。
単純なスペース効率だけでも、57%の削減となっている。ブレードサーバでは、収容効率がよくてもラックの電源容量が足りず、ブレードを導入したラックにスペースが余っていてもサーバを追加できないといった問題が起きがちだが、BX900は消費電力についても従来製品から40%程度低くなっているという。デモ展示では、ラック型サーバ18台分の消費電力の11.4Kw(約3年前のラック型サーバ)に対して、BX900フル実装でも6.9Kwとなっていた。
省エネ設計の秘密は、搭載するサーバブレード本体の省電力化と、冷却ファンの回転数制御、電源ユニットごとの制御などの技術によるものという。温度、負荷状態により冷却ファンの回転数を制御することで、消費電力を抑えることもできるそうだ。この制御はブレードの搭載位置も考慮されたもの。6基ある電源ユニットも、利用状況によって1基ごとに停止させることができる。
冷却効率については、まず、サーバブレード内部のプロセッサー、メモリ、HDDの配置によってエアフローが最適化されるようになっている。そして、本体のフロントマスクの穴を六角形に並べたハニカム構造にすることで開口率を35%まで確保している。ハニカム構造により、穴を大きくしてもパネルの強度を確保できるようになっている。これらの特徴を生かし、比較的ゆっくりとしたエアフローによってサーバブレード、シャーシ内部を冷却する。
空気の流れを大きく(速く)することで冷却効率を高める方式では、単位時間あたりの流量が多くなる分、サーバルームのエアコンの負荷が増大する。同製品では、冷却効率だけでなく施設全体の省エネを考えた設計となっている。
BX900のもうひとつの特徴は、富士通の戦略商品として来るべきクラウド時代に備え、すぐに陳腐化しないような余裕をもったスペックになっていることだ。シャーシに内蔵された各ブレードサーバをつなぐミッドプレーンは10Gbpsシリアル伝送技術を採用し、シャーシ全体で6.4Tbpsの総スループットを持つ。コネクションブレードは10Gbps(内部18チャネル、外部8チャネル)のイーサネットスイッチや8Gbpsのファイバーチャネルスイッチが用意されている。また、HPC領域への応用にも対応するInfiniBandスイッチ(40Gbps)も10月に投入される予定という。10Gbpsイーサネットスイッチには、富士通の独自開発のワンチップLSIが利用され、消費電力やレイテンシ(スイッチの切り替え速度)でも業界最高性能を誇るとのことだ。
なお、高速なミッドプレーンを持ち、多数のコネクションブレードを搭載できるシャーシは、メンテナンスと冷却という面で大きなアドバンテージがある。取材では、BX900と、冒頭紹介した23Uのラック型サーバの背面を見せてもらった。写真を見てわかるように、ケーブルの配線量の違いは歴然だ。本数にして90%の削減になるという。これだけ配線量に違いがあるとメンテナンス性だけでなく、ラック後方の冷却エアフローにも大きな差が生じる。
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