NECと東北大・阪大など、グリッド上で世界最大級の広域ベクトル型スーパーコンピュータ連携を実現
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ベクトル型コンピュータは、流体計算や構造物の力学計算、新物質探求や気象計算などに代表される大規模科学技術計算を高い実行効率で処理することが可能であり、最先端の研究開発や製品設計における重要な基盤として広く利用されている。東北大学では、NEC製SX-9 16ノード(最大ベクトル理論性能26.2TFLOPS)、大阪大学では同じくSX-9 10ノード(同16.4TFLOPS)を導入しており、両者は学術情報ネットワーク(SINET3)で高速接続されている。
今回、国立情報学研究所が研究開発したNAREGIミドルウェアを活用し、これらのベクトル型コンピュータを高速ネットワークで密に連携させ、仮想的に1つの巨大なコンピュータと見做すことで、大規模並列シミュレーションなどを、効率的に実行することを可能とした。実証実験では、あらたにSX-9のローカルスケジューラ(NQS)と高い親和性を持たせた“GridVM for SX Vector Computer”を開発し、ジョブ管理機能、情報プロバイダ機能、資源利用量制限機能を強化。共有メモリおよび分散メモリ用の並列プログラミングライブラリを用いて、並列化された電磁界分布シミュレーション用のプログラムを、東北大学と大阪大学のSX-9上を接続して実行させた。
今回開発されたSX-9用GridVMをNAREGIミドルウェアに導入することにより、両計算センターの計算資源の仮想化を実現するとともに、処理負荷状況の自動的な判断によってジョブの最適な振分け実行が、2つのスーパーコンピュータ間で可能であることが実証された。グリッド環境においてもベクトル計算資源の効率的な利用が可能なため、センター通常ジョブとグリッドジョブの共存によって世界に先駆けたクラウド型計算サービスの提供も見込めるという。今後は、ベクトル型スーパーコンピュータを保有するより多くの組織との連携により、利用者の利便性を高め、応用ソフトウェアの全体としての実行効率向上やコスト低減を実現する、新しい時代の学術情報基盤「ベクトル計算クラウド」の実現に向けて取組む予定。
《冨岡晶》
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