FC-SAN市場は今後の重点市場だ——ネットアップの事業戦略
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
発表は、NetAppの日本法人であるネットアップの代表取締役社長 タイ・マッコーニー氏が自ら行った。簡単な自己紹介のあと、昨年度(2008年5月〜2009年4月)の実績を振り返り、グローバルな売り上げで34億ドル、前年比3%アップという数字について、昨年からの世界経済の状況を考慮して、まずまずの評価を与えた。また、日本では、NAS市場でのシェア上位に加え、FC-SAN(Fiber Channelのストレージエリアネットワーク)とiSCSIでの大型案件獲得、IBM向けOEMビジネスとコンサルティング事業の躍進があったことを述べた。
続いて行ったネットアップの製品ラインアップについての簡単な紹介のあと、同社のストレージ製品の優位性として、単一アーキテクチャとOSにより、バックアップ、仮想化、NASからSANの上位レイヤまでを統一的に管理できることを強調した。他社のストレージ製品の場合、管理ツールやアプリケーション、仮想化やバックアップのミドルウェア、SANなどワンストップで供給されず、異なるハード、ソフトを管理しなければならないのに対して、同一のハード、ソフトでまとめられるFASシリーズ(OSにData ONTAPを搭載)が市場で評価されていると説明した。
単一アーキテクチャによるスケールアウト構成も投資効率の向上に貢献するとして、同社のビジネス基盤になっているそうだ。ほかにも人材を重視する企業文化、チャネル販売によるエコシステムもネットアップのビジネスモデルの強みであると強調した。逆に同社が弱点と見ているのは、市場での認知度とアカウントの開発(チャネル以外での展開)だ。ネットアップのストレージは、IBM、富士通、日立といった大手ベンダーのOEMとして採用実績は豊富でシェアも高いのだが、企業としてのネットアップの認知度はまだまだ低く今後の課題という。
課題への対応や今年度の戦略を考えるうえで、市場動向などの評価は重要だとして、次のような分析を行った。まず、顧客の購買動向が、グローバル市場において、直接販売から間接販売にシフトしている状況があるという。エンドユーザーは、自社や自前でシステム構築をするのではなく、アウトソーシングの傾向が強まっている。1990年頃は主な企業の85%がストレージ製品やサービスを直接購入していたのに対して、2010年にはこれが35%まで下がるというガートナーの調査結果を引用し、説明した。
そして、ITプロバイダがユーザー企業などに商品やサービスを提供する販路、手法について、ホスティング、クラウド、SaaSなどの拡大傾向が続くとした。ネットアップでは、このようなクラウド時代にどのような市場ポジションを目指すべきかを考え、「Suplier of Choice」をキーワードとしてあげた。これは、1800年代の米国のゴールドラッシュのとき、ジーンズメーカーのリーバイスは、金脈を追わずテント、シャベル、ジーンズを提供することで成功したことを引き合いに出し、ネットアップもクラウドそのもののビジネスではなく、自社の強みであるストレージ製品をクラウドのインフラとして最適なものとして提供していくと述べた。
たとえば、クラウドサービスのうち、IaaS(Infrastructure as a Service)では各国の通信事業者に、PaaS(Platform as a Service)ではSAPやOracleといった企業へストレージを供給し、SaaS(Software as a Service)ではYahoo! メールのためのストレージでの採用実績などを披露した。また、Picasのストレージにもネットアップの製品が採用されており、ソニー PSPのゲーム配信用に同社のストレージを提案しているとも述べた。
最後に、2008年の日本市場における製品カテゴリ別のシェアのグラフを見せながら、今年度の目標について説明した。データはIDCの調査によるものだが、これによるとNAS市場ではネットアップのシェアは1位、iSCSI市場で2位だが、FC-SAN市場では9位となっている。マッコーニー氏によれば、iSCSI市場はデルがイコールロジック社を買収したため2位になってしまったが、今年度はこれを奪回したいとした。FC-SAN市場はこれから伸びる分野として注目しており、ここでもシェア上位を目指すという。
日本国内でもGDPがマイナス成長と、厳しい状況ではあるが、反面データの保護やディザスタリカバリ、事業継続性といったニーズは高まっているので、これらの脅威をチャンスに変えて目標を達成したいと締めくくった。
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