「ケータイ+PC+TV+クラウドをシームレスに」——Windows phone
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まず、同社代表執行役副社長の堂山昌司氏が、携帯電話の進化や市場推移から、同社の携帯電話事業戦略までを説明した。携帯電話の進化には、テクノロジーとユーザーインターフェース(UI)の2つの面があるという。具体的には、テクノロジーの進化ではネットワークとCPUの高速化、インターフェースの進化ではディスプレイの大画面化とタッチスクリーンやキーボードなどの入力機能を挙げている。また、テクノロジーだけでは、どのような製品でも進化していかない。UIが良くなったり、さまざまなアプリケーションが搭載されたりすることによって、製品がより一層進化していくと指摘した。
携帯電話の出荷台数は、年々減少しているが、スマートフォンの市場だけは伸びている。スマートフォンの出荷数は、2009年が1億9,700万台、2012年には3億5,000万台に近づく勢いがあると紹介した。
同社の携帯電話事業戦略は、ケータイ、PC、テレビをシームレスにつなぎ、可能なかぎりクラウドサービスにしていくことだという。これにより、さまざまなコンテンツが3つのスクリーンで相互に利用できるようになると説明した。
「スマートフォンは、どうしてもビジネスユースと思われているが、今回のWindows Mobile 6.5をきっかけに一般ユーザーにもエンジョイしてほしい。また、PCやテレビとも連動していく。コンテンツプロバイダのゲーム、音楽、マンガ、番組をWindows Mobile 6.5のプラットフォーム上で生かし、購入者に最高の体験を提供したい」
さらに、マイクロソフトの日本法人で、Windows phoneではグローバルに展開できるビジネスモデルを提供していきたいと強調した。
次に、同社モバイルコミュニケーション本部 本部長の越川慎司氏が、Windows phoneとWindows Mobile 6.5の特徴を解説した。
同社は、ユーザーに3つの体験を提供したいという。1番目は「使いやすさの追求」、2番目は「クラウドサービスをモバイルに組み込む」こと、3番目は「何年経っても陳腐化しないケータイのOSとして展開」していくこと。これらを実現するために、昨年春からWindows Mobileの開発部門を日本に置き、日本のユーザーの意見を反映させたという。その成果がWindows Mobile 6.5であると、越川氏が明らかにした。
Windows Mobile 6.1までは、PDAの延長線上でスタイラスペンによる操作だったが、Windows Mobile 6.5ではタッチスクリーン操作に対応した新しいUIを採用。アイコンやメニューなどのサイズを拡大し、すべて片手で操作できるようにした。また、ロック画面状態でも、電話や電子メールの着信がすぐにわかるように改良。
同社の調査によると、スマートフォンユーザーの60%はPC用Webサイトを見たいから、スマートフォンを使っているという。そこで、Windows Mobile 6.5では、Webブラウザ「Internet Explorer Mobile 6」を搭載し、PC向けWebサイトと同じような閲覧性を追求した。Internet Explorer Mobile 6では、PCで培ったWebブラウザのテクノロジー(レンダリングエンジンやマルチメディア再生機能など)をモバイルに持ってきたとのこと。スクリーンサイズの違うものでも、ユーザーの見たいサイズに変更可能だという。
次に、越川氏はデモを交えながら、自動バックアップサービス「My Phone」とアプリケーション配信サービス「Windows Marketplace for Mobile」を紹介した。My Phoneは、Windows phoneに保存した、予定表や写真などのデータをクラウド上に同期、バックアップできる無償サービス。クラウドサービスの容量は200MBとなっている。My Phoneのクラウド上では、Windows phoneで撮影した高解像度の写真をオリジナルサイズのままバックアップしたり、公開・共有したりすることも可能だ。
Windows Marketplace for Mobileは、ゲームやユーティリティ、各種コンテンツなどのWindows phone向けアプリケーションをPCなしでWindows phoneから直接購入・ダウンロードできるアプリケーション配信サービス。同サービスを利用することで、ソフトベンダーはWindows phone向けアプリケーションを世界中へ配信、販売できるようになる。一方、ユーザーはPCからではなく、手元のWindows phoneで必要なコンテンツを探し、購入、インストールできるのが特徴だ。
Windows phone向けアプリケーションのインストールについて、越川氏はデモを実演し、「インストール時間は20〜30秒、タッチ操作は3〜4回」と簡単さをPRした。
続いて、Marketplaceのパートナー企業が、Windows phoneおよびMarketplaceについて、以下のコメントを発表した。
カプコン開発統括本部MC開発部長の手塚武氏「従来の携帯電話とは遥かに違う表現力で、PCよりフレンドリーなスマートフォン」(提供アプリケーション:アクション・シューティングゲーム「biohazard DEGENERATION」)
コナミデジタルエンタテインメント執行役員の上原和彦氏「既存の携帯電話では実現できなかったハイクオリティーなゲームを提供できるようになった。将来は家庭用ゲームとWindows phone用ゲームが相互に連携するような新しい遊びを提供できると考えている」(提供アプリケーション:音楽シミュレーションゲーム「DanceDanceRevolution S」やスポーツゲーム「モバイル・パワフルプロ野球」など6タイトル)
プロペ代表取締役社長の中裕司氏「Windows phoneは、画面が高精細できれい。そこで、同社が提供する絵本のようなグラフィックのゲームを楽しんでほしい」(提供アプリケーション:アクションゲーム「IVY THE KIWI?」)
レコチョク取締役代表執行役社長の今野敏博氏「Windows phoneは大画面で、操作性がいい。だから、エンターテインメント(音楽)分野にピッタリ」(提供コンテンツ:音楽情報サイト「レコチョクチャンネル」)
また、戦略コンテンツパートナーとして、マイクロソフトと集英社が業務提携することも併せて発表した。集英社常務取締役の鳥嶋和彦氏は、「集英社のマンガを世界中の子どもたちに楽しんでもらうことが夢。だが、出版社1社の力だけでは実現が難しい。そこで、このビジョンに共感し、著作権に配慮のある企業を探してきた。その答えがグローバルに展開し、著作権に理解のあるマイクロソフトだ」とコメントしている。(提供コンテンツ:マンガ「DRAGON BALL」)
最後に堂山氏は、「OSのプラットフォーム技術だけでは進化が止まってしまう。OSとコンテンツを両輪として大事にしている。いわゆるOSはただの箱だから、OSのWindows Mobile 6.5よりも、OS上で稼動するコンテンツが最も重要だ。そこで、コンテンツプロバイダ様には、Windows Mobileでなければ楽しめないコンテンツを作り込んでいただく。一緒になってプロモーションしていく、そういったエコシステムが必要だと考えている。さらに、コンテンツプロバイダの権利を守り、創造のサイクルを止めなてはならない。従来のビジネスユーザーに加え、一般ユーザーに向けて、Windows Mobileの勢い、コミットメント、Marketplaceをいかに拡大していくか、楽しんでいただくか、パートナーメーカーのコンテンツをマネタイズしていくかを考えている」と力説し、戦略説明会を締めくくった。
《高柳政弘》
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