【PNDレビュー Vol.5】国産PNDのライバル ソニー nav-u と比較——GARMIN nuvi1480
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◆スペック面では同等だがnav-uは8GBの大容量
まず簡単にスペックを見てみよう。GARMIN「nuvi1480」は、高さ86mm×幅137mm×厚さ18mmで、重量は260g。画面サイズは5V型のWQVGAで、microSDカードスロットを持つ。バッテリー駆動時間は約3時間。
一方のソニーnav-u NV-75Vは、高さ88.5mm×幅141mm×厚さ17.5mmで、重量255g。メモリースティックデュオのスロットを持つ。バッテリー駆動時間は通常モードで約3時間、省電力モードで5.5時間。どちらもワンセグチューナーとBluetoothを搭載している。
サイズ・機能ともにライバルになりそうな両者だが、大きく異なるのは内蔵メモリの容量だ。nuvi1480は4GB、ソニーは8GBと倍の差がある。その一方でnuvi1480はBluetoothケータイを介したオンラインでのインターネット検索が可能となっている。NV-U75VにもBluetooth対応だが、ハンズフリーにとどまる。
現在NV-U75Vの実勢価格は5万5,000円前後、nuvi1480は4万5,000円前後。この1万円の差をどう見るかが、両者を選ぶポイントになりそうだ。
◆取り付けスタンドは装着性でnav-u、可搬性でnuvi
それぞれの取り付けスタンドから比較してみよう。初代nav-uから吸着性能に優れた“ピタッと吸盤”を採用するソニーの台座は、確実に取り付けできる。ソニーに追従して、サンヨーやパナソニックも同様のゲル状吸盤を投入してきている。nuvi1480はダッシュボード用の両面テープのついた吸盤台座が付属するが、ダッシュボードへの確実な取り付けという意味では、ゲル素材を利用した吸盤に軍配を上げざるを得ない。
ゲル素材の吸盤採用はフロントウィンドウへの取り付けに道交法での規制がある日本ならではの発明だが、GARMINをはじめとする海外メーカーにも採用してほしいところだ。ただ、GARMIN側の利点は機構がシンプルな分、コンパクトなサイズに収まっていること。ソニーのスポンジ吸盤は結構かさばり、持ち運びには適さない。頻繁に載せ替えるなら、車両ごとに取り付けスタンドを揃えたほうが便利だ。
◆アンチグレアで落ち着いた発色のnuvi、高輝度で映像に強いnav-u
画面サイズは、nuvi1480が5V型、NV-U75Vは4.8V型のいずれもWQVGAのタッチパネルを採用している。画面の大きさは両者ほぼ同じとみてよい。画素数はどちらも480×272ピクセルだ。
nuvi1480はアンチグレアタイプのタッチスクリーンとなっており、指紋の跡や画面の汚れは目立ちにくい。また、夜間のナビゲーションやワンセグの視聴でも画面がギラギラしたり、ウィンドウに写り込むこともない。落ち着いた発色なので、長時間の使用でも目に優しそうだ。
一方のNV-U75Vは、高反射のクリアなタッチスクリーンとなっている。これは、ナビゲーション画面やワンセグ視聴などではかなりきれいな画面が楽しめるが、光沢のあるガラススクリーンは指紋の跡がかなり目立つ。また、夜間での表示は、画像がきれいな分、眩しく感じることがあり、輝度などを手動で調整したくなることがある。ワンセグなど映像表現の豊かさはさすが家電メーカーと思わせるものだ。
タッチスクリーンについては、触り方のクセによるものか、筆者の体感では、NV-U75Vのほうが操作性がよかった。nuvi1480は、しっかり触れないと反応しないときがある。また、ピクチャービューア機能では指でサムネイル画像をスライドさせることができるのだが、ときおり行きすぎたりして少々コツがいる。
UI面では、iPhoneライクのリニアな操作感を目指したnuvi1480が好印象だった。ズーミングやスクロールもスムーズで、触っていて気持ちが良い。
◆起動時の測位や復帰で速いnuvi、ジャイロ+加速度センサーで安定感のあるnav-u
地図表示やナビゲーションについては、最近の機種はどれもGPSの精度や施設情報で困るようなことはなく、どちらも十分実用的である。これも好みの問題になりそうだが、両者で違っていた点をいくつか挙げてみたい。
まず、起動時のGPS補足は、nuvi1480のほうが若干速いことが多かった。トンネルなどでの自車の追従だが、ソニーはジャイロセンサーなど搭載し、独自の検出アルゴリズムも加味した「ポジションプラスGT」を採用しており、ポータブルカーナビでの自車位置の認識には定評がある。実際の利用シーンでも安定したナビゲーションを行ってくれた。
nuvi1480はGPSレシーバーだけの測位だが、ビルや高架下でない限りは十分な精度。ワンタッチで衛星の補足数と精度を表示できるのも便利だ。さらに電源投入時の衛星補足や、一時的にロストした場合の復帰の早さはNV-U75Vを凌駕する。トンネル進入時の移動速度を把握しているため、途中で自車アイコンが止まるということはない。
◆収録検索データは同等だが、Internet検索で新鮮な情報を探せるnuvi
目的地の住所情報はどちらも「号」まで指定できる。カタログによると住所データはnuvi1480が3,300万件、NV-U75Vは3,500万件となっている。nuvi1480は、交差点情報、オービス情報など追加情報、さらに海外地図対応やPOIのカスタマイズをPC経由で簡単に行うことができる。
NV-U75Vは、グルメガイドやゴルフ場ガイドなども内蔵し、PetaMapからのポイント情報のインポートが可能だ。nuviのPC連携によるカスタマイズの自由度は高いが、やはりすこし敷居が高い。
◆細街路を使うnuvi、nav-uはオプションながらVICS光ビーコンに対応
ルートガイドについては、同じ目的地を設定しても、まったく同じルートになるとは限らない。どちらもこのあたりは、メーカーごとの味付けやポリシーが出るところかもしれない。
実際に同じ車に2台同時に取り付け、同じ目的地の道案内をさせてみたところ、県道レベルの一般道を走っていると、分岐を左右逆に指示されることもたびたびあった。どちらかといえばnuvi1480のほうが、細い道路も積極的に案内する傾向が見られた。ときおり、細街路でも遠慮なく案内するときもあるので、細い道に入るのが不安な場合は、走行モードを幹線道路を優先で案内する「トラック」に変更すればいいだろう。
なおNV-U75Vはオプションでワンセグ/FM-VICS受信用アンテナや、渋滞情報をルートガイダンスに利用できるVICSビーコンユニットの接続が可能だが、アンテナは1万,000円、ビーコンに至っては2万円近くする。5万円前後のナビにこれだけの出費ができるかというと、難しいところだ。
また、GARMINのnuviは、せっかくBluetoothを利用したパケット通信が可能なのだから、ケータイナビやパイオニアの「エアーナビ」のようなオンデマンドVICSへの対応も行って欲しかった。この価格で通信利用の渋滞考慮ルート探索が実現されれば、nuviの強力なセリングポイントとなるだろう。
◆万人受けのnav-u、使いこなす楽しみならnuvi
NV-U75Vは、日本の高付加価値型ポータブルカーナビとして正統に進化した端末と言える。
ポジションプラスGTによる高精度な測位、目的地検索のフロー、案内の仕方、画面の表現力やワンセグ視聴の画面のきれいさ、動画再生、音楽再生など、その完成度は非常に高い。8GB大容量のメモリを活かした、グルメぴあやゴルフダイジェスト・オンラインなどのガイド情報も魅力だ。Windows CE機とは一線を画したUIや外観の仕上げは店頭での訴求力も相当なものだろう。ソニーというなじみのブランドであることも、万人に受けるポイントといえる。
これに対して、ミニマリズムを地でいくGARMINの設計思想は遙かにシンプルだ。ハードウェアはある程度割り切り、本体のハードキーは電源用のひとつだけ。クレードルも小型軽量。そのかわりにBluetooth接続による無限で最新の情報を手に入れた。しかしシンプルなUIやハードウェアだけを見てビギナー向けのPNDだと思われると、それは誤解だ。
Google検索が可能であること、PCに直結してデータをやりとりしたり、地図更新が自分でできること、POIや自車位置アイコンをカスタムしたり海外地図の利用でグローバルで使えるナビになることなど、使い込むほどにnuvi1480の拡張性は魅力になるだろう。また、PNDとしては珍しくバックカメラに対応していることも見逃せない。
というわけで、ありきたりな結論になるが、PC連携やネット検索、豊富な拡張機能を使い込んで自分流のナビに仕立て上げたいのならnuvi1480、ソニーというブランドや自車位置精度、ポータブルナビとしての完成度を重視するならNV-U75Vということになるだろうか。
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