医療の質向上に必要なもの——帝京大学 澤 智博氏
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代表のリック・A・クノッセン氏は、コンティニュア・ヘルスアライアンスの対象領域3分野として「予防的な健康管理」「生活習慣病の予防」「高齢者の自立した生活」を挙げ、個人が自発的に健康的な生活を送ることができる環境を実現することがコンティニュア・ヘルス・アライアンスの使命であるとした。
コンティニュア設計ガイドラインにもとづいた血圧計、体重計、フィットネス機器などの測定デバイスは、対応PCやモバイル、Bluetooth受信機を接続した端末などに情報を自動送信し、端末からインターネットに情報がアップロード。家庭、病院、自治体、企業などがネットワークを通して、運動量、血圧、体温など個人のバイタルデータを共有できるようになるという。
2006年の発足時は22社であった参加企業は3年で200社以上となり、製品実用化の認証を受けた機器も30にのぼるという。
コンティニュア・ヘルス・アライアンスの日本代表を務めるインテル代表取締役社長の吉田和正氏は、「2055年には、日本国内における65歳以上の高齢者率は40.5%にまで上昇する。少子高齢者社会により生活習慣病に関わる医療費、老人医療費の割合は今後ますます増えることが予想される」として、今後、健康で豊かな社会の実現に向けた医療・ヘルスケアサービスの発展が更に重要になっていくと述べた。
既にコンティニュア設計ガイドラインに基づいて機器連携し、業務効率化を実現したITシステムの例として、訪問看護事業を行うセントケア・ホールディングの例が紹介された。
セントケア・ホールディングはメディカル・データ・ビジョンと共同で開発する訪問看護業務の管理ASPシステム「看護のアイちゃん」にコンティニュア規格に対応した血圧計、体重計からのデータ取り込み機能を追加した。
看護師が訪問先で測定した数値や測定時刻などのデータが、持ち込みのパナソニック製モバイルPC「TOUGHBOOK」に自動転送される。入力の手間やミスが減るだけでなく、ケアにかける時間を増やすことができたり、スタッフ同士で情報が共有できるようになったりと、看護の質の向上にもつながっているという。また、高齢者を持つ家庭にとっては、在宅ケアの充実により、自宅で家族と過ごす時間を多く持つことができるようになるというメリットもある。
続いて、帝京大学 本部情報システム部長で、同大学医学部付属病院の麻酔科学講座の澤 智博氏が登壇し、医療業界から見たコンティニュアについて述べた。
澤氏は従来の医療業界の慣習を旧パラダイムとして「Reactive(反応的)」「Disease Oriented(疾病中心)」「Sporadic(断片的)」と表現。一方で、ITを用いた医療の新パラダイムを「Proactive(先行的、予見的)」「Lifestyle Oriented(生活スタイル中心)」「Continual(連続的、継続的)」と表現し、その実現の必要性を強調した。
具体的にはこれまでは症状ありきで来院する患者に対して、断片的な情報をもとに「点」で接する診療が中心だったものが、継続的に収集されたバイタルデータがあれば、患者と医師は時間軸を持って「面」で接する診療が可能になる。予防中心、患者の自律を助け、医療全体の質の向上につながっていくとした。
また、医療機関のシステム(電子カルテなど)とコンティニュア機器の連携については、通信業界の用語「ラストワンマイル」になぞらえ、患者のベットサイド測定機器と院内システムへの接続を「医療機関へのラストワンマイルソリューション」と表現し、個人のPHR(Personal Health Record)と医療機関でのデータを一元管理できるICTシステムに期待を寄せた。
記者発表会同日には、パナソニック、フリースケール・セミコンダクタ、日立ソフトをはじめ、コンティニュア・ヘルス・アライアンスの加入企業10社以上がコンティニュア対応製品に関する一斉リリースを発表しており、今後の市場動向が注目される。
《RBB TODAY》
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