名大とNTTら、消費電力を電気ルータの約1/20に低減する新装置を試作
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
「光クロスコネクト技術」とは、波長パスを、電気処理を行わず、光スイッチなどを用いて行く先を切り替える(クロスコネクトする)技術。現在、ルータによる電気処理を行わず、光信号のままルーティングできる小型で低コストの光クロスコネクトの開発が世界的に進められている。
今回開発された多階層光クロスコネクト技術では、複数の波長パスを束ねた波長群単位で切り替える部分と、波長群を構成する波長パス単位で切り替える部分の2階層に分離したことで、装置に用いられる光スイッチの規模を1/2以下に抑え、多数の素子を集積化できる平面光波回路技術(PLC)を適用することが可能になった。試作機を用い、事業会社が商用として敷設している光ファイバで実証実験を実施した結果、電気ルータと比較し、同じスループット当りの消費電力を約1/20まで低減できることを世界で初めて実証したという。
多階層光クロスコネクト技術は、光信号をいくつかの波長群にまとめて行き先を切り替える波長群クロスコネクト部と、特定の波長群を各波長パスに分解して行き先を切り替える波長クロスコネクト部の2階層から構成される。この方式を採用することで、光クロスコネクトの特長である波長パス設定の柔軟性をほとんど損なうことなく、装置の構成を「大規模の光スイッチが必要」な構成から「小規模の光スイッチを複数使う」構成に変更でき、その結果、多数の素子を集積化することが可能な平面光波回路技術(PLC)を適用することが可能となった。今回は、光スイッチや光フィルタなどのキーとなるデバイスをすべて平面光波回路で構成し、小型で安定性・信頼性・量産性に優れた多階層光クロスコネクト装置を実現した。このような構成により、4.8Tb/sスループットの信号を消費電力350Wという低消費電力でルーティングできたという。
名古屋大学が、低消費電力・低コストを実現する多階層光クロスコネクトネットワークの提案と設計並びに多階層光クロスコネクトアーキテクチャを担当し、NTTが多階層光クロスコネクトノードを実現するノード構成法検討と伝送特性の詳細設計に基づくプロトタイプ開発、NTTエレクトロニクスが多階層光クロスコネクトノードを構成する光部品の開発を担当した。なおこの実験成果は、科学技術振興機構の戦略的創造研究推進事業(略称:CREST)からの受託研究によるものとなる。
《冨岡晶》
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