日本のSaaS市場、今後は年平均11.7%で成長 ~ ガートナージャパンが予測
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
2008年から2009年にかけて、企業のIT予算が縮小される中、少ない初期コストで導入できるSaaSへの関心が高まり、利用率は2009年に31.2%まで上昇したとしている。今後は、アプリケーションの導入期間の短縮の他、商圏やビジネスモデルの変化にともなうシステムの拡張性と柔軟性へのニーズなどがSaaSの導入を後押しするとガートナーでは予測している。しかし一方で、ベンダーのマーケティング・キーワードとして多用されてきた結果、SaaSの定義が混乱し、アプリケーション・サービス・プロバイダ(ASP)やアプリケーション・ホスティングなど既存サービスと混同される状況が生まれており、こうした混乱や誤解が、SaaS市場の発展を阻害する要因にもなると考察している。
主要アプリケーション分野別では、CRMとメール/グループウェアが成長率と規模の両面で市場を牽引していくと予測。CRMでは、利用が先行している営業支援(SFA)に加え企業間(B2B)向けコールセンターでの活用が見込まれるという。メール/グループウェアでは、グループウェアにおけるSaaSの利用が中小企業から大企業に広がることが考えられるとのこと。
国内のITサービス市場は、保守やITアウトソーシングなど既存サービスを中心に成長ペースが鈍化しており、2013年までの年平均成長率は1%未満と低い水準にとどまる見込みだ。こうした中、2桁台の高い成長率が見込まれるSaaSはITサービス・ベンダーにとって注目株であり、激しい競争が予想されるという。
なおガートナーでは、5月31日~6月1日に『ガートナー ソーシング サミット2010 視座を変える「多様性」への挑戦』を開催し、SaaSの展望や、ユーザーおよびベンダーに対する提言を発表する予定となっている。
《冨岡晶》
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