フレキシブルな有機ELディスプレイは昨年の「CEATEC JAPAN 2009」でも披露済みだが、その際は2.5型となっていた。今回の開発品は、独自開発の有機半導体材料(PXX誘導体)を用いて、駆動力を従来比8倍(有機半導体材料にペンタセンを用いた有機TFT試作との比較、同社比)に向上させた有機TFTを新開発したという。
また、20μmの極薄フレキシブル基板上に有機TFTと有機ELを集積化する技術や、やわらかい有機TFTでゲートドライバ回路を形成することで従来のICチップよりも巻き取りやすくする技術、有機TFTと有機ELの集積回路中のすべての絶縁膜をやわらかい有機材料で構成する技術を開発した。
こうした新開発の技術を組み合わせることで、曲率半径4mmの太さに巻いたり伸ばしたりを繰り返しながらの動画再生が可能な有機ELディスプレイの試作に成功。これは2010年5月現在、有機TFT駆動有機ELディスプレイの試作として世界初をうたう。
今回の成果としては、デバイス製造の材料消費を抑えると同時に、低エネルギー消費、低環境負荷に結びつくこと。また、薄く・軽く、耐衝撃性や収納性に優れたモバイル機器の実用化につながることが挙げられるという。
なお、同研究成果は、米国ワシントン州シアトル市で5月23~28日に開催のディスプレイ関連学会 SID(Society for Information Display)2010 International Symposiumに採択され、現地時間の5月27日に発表される予定。
開発品のデモ動画は同社のサイトで公開中。ディスプレイの巻き取りを繰り返しながら動画が表示される様子が紹介されている。