【ケーブルテレビショー2010 (Vol.11)】最新3D映像技術の現状と問題点――NHK放送技術研究所 奥井誠人氏
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奥井氏は、まず対象が立体に見えるディスプレイの原理として、注視点に向けた左右の眼球の動きである「輻輳」と動きの前後で得られる像のズレである「両眼視差」によって得られるものと、視点を移動させることで空間や奥行きを認識する「運動視差」によるもの、そして遠近法や影による対象の認識などがあるとした。
そして、現在の立体映像技術には両眼視差方式、像再生型、体積表示法などがあるという。両眼視差方式はポピュラーな方式で、左眼、右眼映像をフィルタやメガネで見る二眼式、ディスプレイにレンチキュラーレンズなどを用いて、運動視差映像を形成する多眼式(メガネ不要)がある。像再生型が、現在研究開発が進められている方式だそうだ。
両眼視差方式は、メガネが必要だったり、頭を動かしたり、横になって見ると立体映像にならないという欠点があるが、像再生型は、専用カメラと特殊なディスプレイを利用し、水平方向、垂直方向ともに視差映像を表示し、両眼視差方式の欠点を補うことができる。NHK技研では、現在、像再生型の立体映像技術の研究に力を入れており、方式としてインテグラル方式の立体テレビを開発しているとのことだ。
NHK技研では、立体映像方式の研究のほか、現状の二眼式の立体ディスプレイにおけるヒューマンファクターの研究も行っているそうだ。ステレオカメラの配置やディスプレイの条件によって、奥行きが非線形となり違和感を感じる「書き割り効果」や背景と前景の対比が不自然に感じる「箱庭効果」をいかに改善するか、左右映像の相互干渉であるクロストークも課題だとした。
最後に奥井氏は、カメラや方式など技術的な課題の他、立体映像が表示されるスクリーンまでの距離と、その映像が実際に見えるはずの距離とのズレによる視覚疲労、映像そのものの動き、色調、シーン切り替えなどによる見にくさ、個人差や年齢による適不適の違いなども考えなければならないとし、一般家庭への3D映像普及の課題部分をまとめた。
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