日本IBM、公共ウェブサイトのアクセシビリティ向上事業に着手
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
第一弾として、鳥取県庁のウェブサイトを対象に、実際のホームページの内容に変更を加えることなく、アクセシビリティ上の問題点を短時間で改善していくユーザー参加型アクセシビリティ向上サイクルを構築する。具体的には、ウェブページ利用者であるユーザーとウェブサイトのオーナーの協働を可能にする「アクセシビリティ向上システム」を活用して、発見されたホームページ閲覧上の不具合や改善要望を、今回新たに構築する「Webアクセシビリティ・クラウドセンター」に蓄積して対応する。
「アクセシビリティ向上システム」では、例えば視覚障がい者が、ホームページに図や画像で表示されている情報が理解できないという不具合を簡単な操作で報告すると、修正担当者が表示されている図や画像が何を示しているのか、理解を助けるための補助情報(メタデータ)を付加し、「Webアクセシビリティ・クラウドセンター」に保管する。保管後、同じページにアクセスすると、付加された補助情報がIBMの最新のマッシュアップ技術によって自動的に読み込まれ、ウェブページに掲載されている情報が理解できるようになり、実際のウェブページの内容に変更を加えることなく、短時間でウェブページを改善できる。
「Webアクセシビリティ・クラウドセンター」はTICデータセンターに新設し、運用される。また、TICは、障がい者と共同で「アクセシビリティ向上システム」が提供するツールを活用して補助情報作成業務を実施できる人材育成を行い、障がい者や高齢者の新たな知識・ノウハウの習得や雇用機会の創出に取り組むとのこと。
また、「アクセシビリティ向上システム」は、地方公共団体が作成した膨大な量のウェブページのアクセシビリティ対応状況やJIS X 8341-3への準拠を自動評価する機能(改正版へも対応予定)に加え、ウェブページを閲覧するユーザーが情報アクセシビリティ上の問題点を報告する仕組みと、さらに問題点を即座に修正するツールを組み合わせたアクセシビリティを継続的、効率的に向上することを可能にする仕組みを提供する。この「アクセシビリティ向上システム」は、日本IBM東京基礎研究所が2008年に開始したインターネット上で一般のユーザーと視覚障がいを持ったユーザーが協働してウェブページのアクセシビリティを向上させるための試みである「Social Accessibility(ソーシャル・アクセシビリティー)プロジェクト」を通して得た知見および同研究所が培ってきた様々なアクセシビリティ技術を活用して構築されるとのこと。
《池本淳》
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