中国シスコのCharleston Sin氏は中国市場の現状について「急速にパブリッククラウドの導入が進んでいる」と話す。ひとつの例だがと前置きした上で氏は次のように続けた。「北京では、会社に行くのに6時半に起きなければいけないことがある。渋滞が10時まで続くからだ。夜(帰宅時)も同じ状態だ。ITリソースを使って生活を変える必要がある。仕事を欲しい人はたくさんいるが、どこで仕事をするか、どこまで行って仕事をするかは別問題だ」。氏は“City Cloud”“スマートコネクテッドシティ”という言葉を使っていたが、都市の渋滞問題解消を担う企業がクラウドを導入しているとのことだ。また、最近では、政府・市からは「(クラウドで)今後5~6年の間にどのようなことができるのか?」とアプローチを受ける機会が増えているという。中国の規制当局は銀行に対して「2シティー、3センター」を要求している。これによってデータ保護を確実にしようとしており、ディザスタリカバリー対策をとっている。氏は、ここにも大きなビジネスチャンスが生まれていると話した。ちなみに、中国で重要視されているアプリケーションはワークフローだという。
ガートナーのChee Eng To氏は、最近ではCEOやCFOまでもがクラウドを唱えはじめ、IT部門に大きな圧力となっていると指摘。クラウドでは、その評価に時間がかかるため、大企業では移行に時間がかかるのが問題であり、中小企業の方が早期に導入。大企業に広がるのはこれからだ、と話した。
BTのNeil Sutton氏は、クラウドについて「言葉の定義はどうあれ、早い時期にグローバルスタンダードに到達しながらその地域の規制に適合し、イノベーションを現実化してあげなければいけない」「いくらお金をかけても顧客の望むものをデリバリーできなければ意味がない」と強調した。また、クラウドの真髄はインフラをシェアすることだとし、コスト面は重要な共通のポイントだとしながらも、クラウドによって透明性が高まり、責任の所在が明確になる点も見逃せない点だと話した。
会場からは「クラウド化するために、社内システムをバーチャル化する必要があると言われるが、その通りか?」といった質問も登場したが、「仮想化はひとつのテクニックだ。それぞれにベストプラクティスがある。何を仮想化するのか?季節性も重要な要素かもしれない。理想だけをかかげて仮想化したり、クラウドを語るのは危険だ」と強調した。Neil Sutton氏もクラウドはイネーブラーでなければいけないと話す。「ヨーロッパであれ、アメリカ、アジアであれ、その国ごとに状況は複雑だ。そういった複雑性を取り除き、早期にグローバルで運用を開始できるようにしてあげることが重要だ」。