【CEATEC JAPAN 2010(Vol.31)】IIJ、高機能アクセスルータ「SEIL」シリーズを展示
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■手持ちのPCやSVにインストールできる「SEIL/x86」……ハードウェア性能によって性能は無限
「SEIL/x86」は、IIJの企業向けアクセスルータ「SEIL」シリーズの最上位機種「SEIL/X2」相当の機能を持ち、PCベースのハードウェア上で動作するソフトウェアルータ。“「SEIL/X2」のハードウェアからソフトウェアだけを取り出した”とも言える「SEIL/x86」は、USBブートやCD-ROMブートにより、手持ちのPCやSVをそのままSEILとして利用することが可能だ。
またVMware環境にも対応し、仮想アプライアンスとしての利用や、1台のハードウェアで複数の「SEIL/x86」を稼動させることで集合VPN装置としての利用も可能。ブースにはVMware上で動作している「SEIL/x86」がデモ展示されており、VMware画面に表示される「SEIL/x86」のコンソール画面では、従来のSEILのコマンドを投入できる様子を確認することができる。
Routingテーブル数、NATセッション数、VPNトンネル数などのルータ性能は、インストール先のハードウェア仕様に依存する。IIJのSEIL事業部 事業推進部 副部長の林賢一郎氏は、「ハードウェアのスペックが低ければローエンドのルータとして使っていただくこともできますし、キャリアやデータセンターのお客様であれば、ハードウェアのリソースがある分だけ、ルータの性能を無限に上げていくことができます」と、「SEIL/x86」の柔軟性について説明する。
「SEIL/x86」の価格は、「SEIL/X2」の10分の1以下になる予定だという(「SEIL/X2」は税抜き498,000円)。「SEIL/X2のようなハイエンドモデルを使われているお客様は、これからはソフトウェアルータにどんどん乗り換え、メールサーバ等の他のサーバと同じハードウェアにインストールし、ハードウェアのスペックを拡張していくという流れは変わらないでしょう。ソフトウェアルータは、フリーウェアとしても世の中にたくさん出回っていますが、SEIL/x86ほどエンタープライズ向けに完成されたものを提供しているのはIIJだけです」(林氏)
ちなみに「SEIL:Simple and Easy Internet Life」であるが、名前の由来は登山で使用するザイル。インターネットとユーザをつなぐ“命綱”を作りたいというIIJの思いが込められているそうだ。
■自動設定と一元管理を実現するSMF(SEIL Manegement Framework)……他社へも技術提供
「SEIL/x86」は、SEILシリーズ同様、IIJのマネジメントフレームワーク「IIJ SMF sxサービス」に対応する。「IIJ SMF sxサービス」は、IIJのISPとしての技術を生かした、ネットワーク機器の自動設定と一元管理を提供する特許技術。ネットワーク機器そのものに設定を保持せず、ケーブルをつないで電源を入れるだけでシステム側から自動的に設定を取得し動作可能な状態になる。また、各機器の設定は「マネージメントユーザインタフェース」と呼ばれる管理画面から一括して行う。
ネットワークを自社で構築・運用する場合、設置や設定に多くの人的な作業プロセスが必要となるが、それをキャリアやSIer提供のマネージドサービスに変えても、トータルコストの大幅な削減にはつながらないケースが多い。「IIJ SMF sxサービス」は、こうしたネットワーク機器1台ごとにかけていたコストを排除する技術だ。「SIerは箱を組み立てて終わりですが、我々はそれをインターネットサービスとつなぐところの面倒をずっと見てきました。24時間365日絶えず運用していくためにどのような機能が必要か、それを突き詰めて作られたのがIIJ SMF sxサービスです」と林氏は語る。
この自動接続の技術はまた、SEILシリーズのみならず、あらゆるネットワーク機器の自動設定と一元管理を可能にするサービスフレームワーク「SMFv2」として、他社にも無償提供されている。ジュニパーネットワークス、NEC、サン電子等から対応製品が登場しており、展示ブースではこれらのSMFv2対応機器を使った自動接続のデモを見ることができる。デモでは、NECのSMFv2対応アクセスルータにケーブルをつないで電源を投入した後、ユーザが管理画面から一切の設定を行うことなく、2~3分でコンフィグの取得が完了した。
■ルータ以外の機器へもSMFを応用……リモートオフィス、スマートグリッド
ルータを管理するために誕生したSMFv2の技術は現在、ルータ以外の機器へも応用が進んでおり、ブース内で紹介されている。
1つは、シンクライアントに応用した「REMO」である。従来のシンクライアントであれば、VPN接続やサーバ接続といったいくつかの認証操作が必要だが、「REMO」は1回の認証だけで接続に必要な情報をサーバから自動取得し、社内デスクトップに自動接続することが可能。また、スマートグリッドへの応用事例では、東光電気株式会社の「インテリジェントネットワークコントローラ」が紹介されている。このコントローラは、電力量センサーと組み合わせることで、エネルギーマネジメントシステム等の様々なシステムを構築できるゲートウェイ装置。SMFv2の自動接続機能を使って、現地での初期設定や設定変更を不要にし、導入・運用コストの大幅削減に貢献しているという。
《柏木由美子》
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