【CEATEC JAPAN 2010 Vol.36】惑星探査機や海底地震計などに使われる京セラの技術
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従来スラスタには金属が採用されてきたが、「あかつき」を開発・製造する三菱重工とJAXAは、素材に窒化珪素(Si3N4)というファインセラミックを採用。京セラは製造を担当した。ファインセラミックは金属に比べて強度と耐熱性に優れ、しかも軽量という特徴を持つが、一方で複雑な成型は金属ほど容易ではない。今回のスラスタの製造においても、セラミックの塊を削って、くびれのある筒状に成型する工程には苦心したという。
あかつきは6月に、このスラスタを取り付けた軌道制御エンジンの噴射に成功した。JAXAによれば、セラミックスラスタの軌道上での噴射成功は世界で初めての事だという。なお、次回の軌道制御は11月上旬頃に実施される予定で、金星への最接近および金星周回軌道への投入は12月7日の予定だ。
京セラのファインセラミックが活躍する先端分野は宇宙だけではない。海洋開発研究機構が設置する海底地震計の耐圧容器にも採用されており、その耐圧容器も展示されている。
最深11,000mの海底に設置する地震計だけに、深海の水圧に耐えられる圧縮強度を持ち、かつ海水による腐食に耐性を持つ素材としてファインセラミックが採用されたという。
宇宙と海底は、共に将来の資源開発を期待されている領域であることは周知の事実。その両者における最先端分野で京セラの技術が利用されているのは興味深い。この展示を見れば、同社の技術の将来性の大きさを実感できるはずだ。
《竹内充彦》
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